遠くへ行くための最初の外歩き
朝の柔らかな光が差し込む中、アルトは義足の魔力循環を慎重に確認していた。
魔力核は昨日よりさらに安定した青白い光を放ち、脈動も落ち着いている。
「うん……いい感じだね」
ラピスはゆっくり立ち上がる。
義足が沈む感覚も軽く、身体の揺れも少ない。
「今日は……外に出てみようか」
アルトの言葉に、ラピスは少し緊張した表情で頷いた。
◇
壁沿いにゆっくり歩きながら玄関へ向かう。
魔力核が青白く脈打ち、歩行を支えてくれる。
昨日より揺れが少なく、歩幅も安定している。
「……外、久しぶりだな」
ラピスは玄関の扉に手をかけた。
扉を開けると、風がふわりと流れ込んだ。
海の匂いを含んだ風が頬を撫で、光が義足に反射して青銀色に輝く。
ラピスは目を細めた。
「……外の空気、こんなに気持ちよかったんだな」
アルトが横で支えながら、そっと見守る。
「ゆっくりでいいよ」
ラピスは深呼吸し、ゆっくり一歩踏み出した。
義足が地面に沈む感覚。
魔力核が反応し、歩行を補助する。
「……歩ける。外でも……歩ける」
その声は驚きと喜びが混ざっていた。
◇
二歩目を踏み出した瞬間、ラピスの息が上がった。
義足の重さと魔力負荷で肩で息をする。
「……っ、外は……思ったより……疲れる……」
アルトがすぐに休憩を促す。
「無理しないで。今日は“外に出られた”だけで十分だよ」
ラピスは義足を見つめながら、小さく笑った。
「……歩けるようになったら、もっと遠くまで行けるよな」
アルトも微笑む。
「うん。今はまだ長屋の中だけど。海岸沿いの拠点まで、いつか歩いて行こう」
ラピスはその言葉を胸に刻むように頷いた。
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