昨日より前へ進むための二歩目
朝の光が差し込む部屋で、アルトはラピスの義足の魔力循環を丁寧にチェックしていた。
魔力核は安定した青白い光を放ち、昨日よりも脈動が落ち着いている。
「よし……今日もいけそうだね」
ラピスはゆっくり立ち上がった。
義足が沈む感覚も、昨日よりずっと軽い。
「今日は二歩目から始めよう」
アルトの声に、ラピスは深呼吸して頷いた。
慎重に二歩目を踏み出す。
魔力核が反応し、昨日より揺れが少ない。
「……いける……昨日より歩ける」
その言葉には、確かな手応えがあった。
◇
しかし、体力はまだ追いつかない。
三歩目を踏み出した瞬間、ラピスの息が上がった。
義足の重さと魔力負荷で額に汗がにじむ。
「……っ、思ったより……疲れる……」
アルトがすぐに水を渡す。
「歩くって、体力がいるんだね」
ラピスは苦笑しながら水を飲んだ。
アルトは姿勢を見ながら言う。
「重心を前に置きすぎないで」
「義足は魔力で支えるより、体で支えるんだ」
ラピスは言われた通りに姿勢を直す。
すると、少し歩きやすくなった。
「……本当に歩けるようになりそうだ」
その声は、昨日よりずっと前向きだった。
◇
海岸沿いの拠点にて、アルトは仲間たちに、ラピスが歩行訓練を始めたことを伝えた。
「遠くまで歩けるようになったら……ここまで来る予定なんだ」
その言葉に、カイが目を輝かせる。
「ラピスさん来るの!?楽しみ!」
ユナも嬉しそうに笑った。
「歩けるようになったんだ……すごい」
リオルはすぐに魔力安定剤の追加準備を始める。
「念のため、予備を持っておいたほうがいいよね」
ハリスは腕を組んで言った。
「道中で転ばないように護衛をつけるべきだ」
マーティンが冷静にまとめる。
「まずは短距離からだ。焦らせる必要はない」
その言葉に、皆が頷いた。
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