揺れながらも前へ進んだ足
アルトがラピスの肩を支えながら、ゆっくりと立たせた。
義足の魔力核が淡く光り、ラピスの身体を支えるように脈動する。
マーティンは壁際で静かに見守っていた。
その表情はいつも通り冷静だが、どこか優しさが滲んでいる。
「ラピス、手を出して」
アルトがそっと手を差し出す。
ラピスは義手でその手を握り、ゆっくり前へ誘導される。
そして――一歩踏み出そうとした。
義足の魔力核が反応し、青白い光が脈打つ。
ラピスの眉がわずかに寄る。
「……っ、足が……重い……」
それでも、ラピスは前へ足を出した。
ぎこちない動きだったが、確かに“一歩”が生まれた。
その瞬間、ラピスの目が揺れた。
「歩ける……歩けるんだ……」
喜びと涙が混ざり、声が震える。
アルトはそっと背中を支えた。
「ラピス、ゆっくりでいいよ」
◇
二歩目を踏み出そうとした瞬間、義足の魔力循環が乱れた。
ラピスの身体が前へ傾く。
「――っ!」
倒れそうになったラピスを、マーティンが素早く支えた。
「焦るな。魔力の流れがまだ不安定だ」
落ち着いた声が、ラピスの緊張を少し和らげる。
◇
アルトはラピスの一歩を見て胸が熱くなった。
「本当に……歩けるようになるんだ」
その言葉には、感動と同時に、わずかな不安も混じっていた。
ラピスが歩けるようになれば、いずれ戦う未来が来るかもしれない。
その未来を思うと、胸が締め付けられる。
「……でも、まだゆっくりでいい。ラピスはラピスのペースで」
ラピスは息を整えながら頷いた。
◇
「訓練ができたら……遠くに行く練習もしてみよう」
アルトがふと思いついたように言う。
「海岸沿いの空き家だった、今の拠点まで歩いて……みんなに挨拶しに行こう」
ラピスの顔がぱっと明るくなる。
「……楽しみにしてる」
その2人の笑顔を、マーティンは静かに見守っていた。
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