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揺れながらも前へ進んだ足

 アルトがラピスの肩を支えながら、ゆっくりと立たせた。

 義足の魔力核が淡く光り、ラピスの身体を支えるように脈動する。

 マーティンは壁際で静かに見守っていた。

 その表情はいつも通り冷静だが、どこか優しさが滲んでいる。

「ラピス、手を出して」

 アルトがそっと手を差し出す。

 ラピスは義手でその手を握り、ゆっくり前へ誘導される。

 そして――一歩踏み出そうとした。

 義足の魔力核が反応し、青白い光が脈打つ。

 ラピスの眉がわずかに寄る。

「……っ、足が……重い……」

 それでも、ラピスは前へ足を出した。

 ぎこちない動きだったが、確かに“一歩”が生まれた。

 その瞬間、ラピスの目が揺れた。

「歩ける……歩けるんだ……」

 喜びと涙が混ざり、声が震える。

 アルトはそっと背中を支えた。

「ラピス、ゆっくりでいいよ」

 二歩目を踏み出そうとした瞬間、義足の魔力循環が乱れた。

 ラピスの身体が前へ傾く。

「――っ!」

 倒れそうになったラピスを、マーティンが素早く支えた。

「焦るな。魔力の流れがまだ不安定だ」

 落ち着いた声が、ラピスの緊張を少し和らげる。

 アルトはラピスの一歩を見て胸が熱くなった。

「本当に……歩けるようになるんだ」

 その言葉には、感動と同時に、わずかな不安も混じっていた。

 ラピスが歩けるようになれば、いずれ戦う未来が来るかもしれない。

 その未来を思うと、胸が締め付けられる。

「……でも、まだゆっくりでいい。ラピスはラピスのペースで」

 ラピスは息を整えながら頷いた。

「訓練ができたら……遠くに行く練習もしてみよう」

 アルトがふと思いついたように言う。

「海岸沿いの空き家だった、今の拠点まで歩いて……みんなに挨拶しに行こう」

 ラピスの顔がぱっと明るくなる。

「……楽しみにしてる」

 その2人の笑顔を、マーティンは静かに見守っていた。

本作をお読みいただきありがとうございます。

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