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本装着の音が告げた一歩目

 義足の最終調整が始まった。

 作業場では、仲間たちがそれぞれの役割を黙々とこなしている。

 アルトは義足の魔力核の脈動を確認し、ラピスの魔力と同期するための微調整を続けていた。

 カイは金属フレームの強度を再チェックし、

 ユナは革の固定具を柔らかく仕上げ、

 リオルは魔力安定剤の最終配合を持ってきた。

「これで……本装着ができるはず」

 アルトが小さく息をついたとき、マーティンが声をかけた。

「アルト、一緒にラピスのところへ行こう。微調整も必要だろう」

「長屋だけど……大丈夫?」

 アルトが心配そうに聞く。

「意外と慣れている。問題ない」

 マーティンは淡々と答えた。

 その言葉に、ユナとカイが同時に首をかしげる。

「慣れる環境にいる貴族……?」

「どういう生活してたんだろ……」

 マーティンは聞こえないふりをして、義足を持ち上げた。

【シーン:アルトの家】

 ラピスはベッドの上で、義手を使って義足をそっと触れていた。

「……これが俺の足になるんだよな」

 その声は期待と緊張が混じっていた。

 アルトは優しく微笑む。

「怖かったら言ってね。ゆっくりやるから」

 ラピスは深呼吸し、ベッドに座り直して足の接続部を露出した。

 義手のときよりも大きな魔力循環が必要になるため、部屋の空気が少し張り詰める。

 義足が近づくと、青白い光が強くなった。

 ラピスが息を呑む。

「……温かい……でも、少し重い」

 魔力同期が始まった。

 魔力核がラピスの魔力を吸い上げ、身体に負荷がかかる。

 呼吸が荒くなり、ラピスは肩で息をした。

「……っ、流れが……強い……」

 アルトが焦りながら調整を進める。

 その横で、マーティンが冷静に魔力の流れを見ていた。

「大丈夫。魔力の流れを整えるから」

 マーティンの落ち着いた声が、ラピスの緊張を少し和らげた。

 カチリ、と小さな音がして、義足が完全に接続された。

 光が一瞬だけ強くなり、部屋を照らす。

 ラピスは声にならない声を漏らした。

 アルトが肩を支える。

「……成功した。ラピス、義足が……つながったよ」

 ラピスはゆっくり立ち上がろうとした。

 義足がわずかに沈み、魔力核が反応する。

 身体がぐらりと揺れたが、ラピスは踏ん張った。

「……っ、でも……立てる……」

 アルトは支えながら見守る。

「ラピス……すごいよ」

 その言葉にマーティンが静かに微笑み、頷いた。

本作をお読みいただきありがとうございます。

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