本装着の音が告げた一歩目
義足の最終調整が始まった。
作業場では、仲間たちがそれぞれの役割を黙々とこなしている。
アルトは義足の魔力核の脈動を確認し、ラピスの魔力と同期するための微調整を続けていた。
カイは金属フレームの強度を再チェックし、
ユナは革の固定具を柔らかく仕上げ、
リオルは魔力安定剤の最終配合を持ってきた。
「これで……本装着ができるはず」
アルトが小さく息をついたとき、マーティンが声をかけた。
「アルト、一緒にラピスのところへ行こう。微調整も必要だろう」
「長屋だけど……大丈夫?」
アルトが心配そうに聞く。
「意外と慣れている。問題ない」
マーティンは淡々と答えた。
その言葉に、ユナとカイが同時に首をかしげる。
「慣れる環境にいる貴族……?」
「どういう生活してたんだろ……」
マーティンは聞こえないふりをして、義足を持ち上げた。
◇
【シーン:アルトの家】
ラピスはベッドの上で、義手を使って義足をそっと触れていた。
「……これが俺の足になるんだよな」
その声は期待と緊張が混じっていた。
アルトは優しく微笑む。
「怖かったら言ってね。ゆっくりやるから」
ラピスは深呼吸し、ベッドに座り直して足の接続部を露出した。
義手のときよりも大きな魔力循環が必要になるため、部屋の空気が少し張り詰める。
義足が近づくと、青白い光が強くなった。
ラピスが息を呑む。
「……温かい……でも、少し重い」
魔力同期が始まった。
魔力核がラピスの魔力を吸い上げ、身体に負荷がかかる。
呼吸が荒くなり、ラピスは肩で息をした。
「……っ、流れが……強い……」
アルトが焦りながら調整を進める。
その横で、マーティンが冷静に魔力の流れを見ていた。
「大丈夫。魔力の流れを整えるから」
マーティンの落ち着いた声が、ラピスの緊張を少し和らげた。
カチリ、と小さな音がして、義足が完全に接続された。
光が一瞬だけ強くなり、部屋を照らす。
ラピスは声にならない声を漏らした。
アルトが肩を支える。
「……成功した。ラピス、義足が……つながったよ」
◇
ラピスはゆっくり立ち上がろうとした。
義足がわずかに沈み、魔力核が反応する。
身体がぐらりと揺れたが、ラピスは踏ん張った。
「……っ、でも……立てる……」
アルトは支えながら見守る。
「ラピス……すごいよ」
その言葉にマーティンが静かに微笑み、頷いた。
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