鎧の記憶と新しい義足の予感
義手を手に入れたラピスは、驚くほど早くそれを使いこなし始めていた。
魔力の流れが安定してきたのか、指の動きも滑らかになり、料理の手伝いまでできるようになってきた。
「ラピス、そこ切ってくれますか?」
「任せてくれ」
青銀色の義手が器用に包丁を握り、野菜を刻む。
その姿は、ほんの少し前まで動くことすらできなかったとは思えないほど自然だった。
◇
食事を終え、テーブルに着いた二人は義手の話をしていた。
「……それにしても、義手を作ってるなんて知らなかった」
ラピスが不思議そうに言う。
アルトは少し視線を落とした。
「実は……護衛として剣を握ってもらおうと思って始めたことなんです」
ラピスが目を丸くする。
アルトは続けた。
「独りよがりで……何も話さずに始めて、ごめんなさい」
その言葉は本気で、少し震えていた。
ラピスは驚いたが、すぐに柔らかく笑った。
「全然気にしてないよ。
それに……俺を護衛としてそばに置いてくれるなんて、嬉しい」
アルトはほっとしたように息をついた。
◇
「そういえば……初めて会った時、俺は鎧を着ていたんだっけ……?」
ラピスがぽつりと呟く。
「壊れていたけれど、立派な鎧だったと思います」
アルトが答える。
「何かと戦っていたのかな……?」
二人は同時に首をかしげた。
「でも、剣とか武器は見当たらなかったです」
「じゃあ……何を武器にして戦ってたんだろう……?」
答えは出ないまま、静かな時間が流れた。
◇
「まず義足も仕上げて、歩けるようになったら……訓練を始めよう」
アルトが言う。
ラピスは頷き、青銀色の義手を見つめた。
「今度はかっこいい義足がもらえるのか……!」
目が輝いている。
アルトは苦笑した。
「男の子ってそういうの好きだよね…」
ラピスは首をかしげる。
「……アルトも男ならわかるだろ?」
「私は生物的には女ですよ?」
その瞬間、ラピスは椅子から跳ね上がるほど驚いた。
「えっ……ええええええええっ!!?」
あまりの大声に、アルトが肩をすくめる。
「そんなに女性に見えないですか……?」
ラピスは慌てて手を振った。
「ち、違う! そうじゃなくて……その……びっくりしただけで……!」
義手の指先が、照れたように小さく動いた。
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