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その指が動いた日

 義手の指が、わずかに動いた。

 ほんの一瞬、ほんの数ミリ。

 それでも、その動きは確かな“生命”を感じさせた。

 ラピスの魔力が義手へ流れ込んでいく。

 青白い光が脈打ち、義手の内部で魔力核が応えるように震えた。

 ラピスは驚き、息を呑んだ。

「……動いてる……俺の魔力で……?」

 アルトは静かに頷いた。

「うん。ラピスの魔力が……ちゃんと届いてる」

 ラピスはゆっくり、義手の指を動かそうとした。

 肩に力を入れ、魔力を流すイメージを思い描く。

 すると――

 指が一本だけ、かすかに動いた。

 ラピスの目が大きく見開かれた。

「……動いた……!」

 その声は震えていたが、確かな喜びがあった。

 アルトは胸の奥が熱くなるのを感じた。

 ずっと抱えていた迷いが、少しずつ溶けていく。

「ラピス……すごいよ」

 義手は完全に接続されていた。

 しかし、ラピスの魔力はまだ不安定で、流れが時折揺らぐ。

 アルトはラピスの肩にそっと手を置いた。

「今日はここまでにしよう。

 でも……ラピス、義手はちゃんと動くよ」

 ラピスは義手を見つめた。

 青白い光がゆっくりと落ち着き、指先が静かに沈黙する。

「……本当に……動ける日が来るんだな」

 その言葉は、未来を見つめるように静かで、強かった。

本作をお読みいただきありがとうございます。

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