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届かない想いと進む作業

 マーティンが机いっぱいに設計図を広げた。

 外装の仕上げ工程――細部の金属部品、革の補強、魔力核を収める容器。

 そのすべてが、義手の完成を左右する重要な作業だった。

「ここからは細かい調整が続く。慎重にいくぞ」

 その言葉を合図に、仲間たちが動き始めた。

 カイは金属部品の微調整に取りかかり、火花が散る。

 ユナは革の仕上げを行い、柔らかさと強度のバランスを整える。

 リオルは魔力安定剤の最終調合を進め、淡い香りが部屋に広がった。

 アルトは魔力核と外装を完全に接続する準備をしていた。

 昨日完成した魔力核は、今も淡く脈打っている。

 作業は順調だった。

 誰もが集中し、誰もがラピスのために手を動かしていた。

 一方その頃、アルトの自室では――

 ラピスが静かに過ごしていた。

 義手が完成しつつあることを、彼は知らない。

 ただ、最近帰りが遅くなっているアルトのことが気がかりだった。

「大丈夫だろうか……早く帰ってきてくれ」

 小さな呟きが、静かな部屋に溶けていく。

 ふと、指先に力が入った。

「……動いた?」

 ほんのわずかだが、確かに動いた。

 自分の身体が少しずつ回復していることを感じる。

 しかし、すぐに痛みが走り、ラピスは顔をしかめた。

「ちゃんと動くことができたら。きっと一緒に外に行けたのに」

 その言葉は、誰にも届かないまま、部屋の空気に消えていった。

 その頃、作業場では――

 アルトが魔力核を外装に接続しようとしていた。

 魔力核をそっと外装の中心へと近づける。

 淡い光が義手全体に広がり、部屋が青白く照らされる。

「……これで、ほぼ完成だ」

 マーティンが静かに言った。

 仲間たちが息を呑む。

 義手は、確かに形になっていた。

 アルトはまだ迷いを抱えたまま、義手を見つめた。

 ラピスは本当に望んでいるのだろうか。

 自分の助けを、本当に必要としているのだろうか。

本作をお読みいただきありがとうございます。

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