集う仲間と始まる義手づくり
翌朝、アルトの部屋にはリオル、ユナ、カイが集まっていた。
昨夜、マーティンたちの帰還が遅かったため、皆どこか落ち着かない様子でそわそわしている。
「遅い……何かあったのかな」
ユナが不安げに呟く。
「大丈夫だよ。あのメンバーだし」
カイが言うものの、声には少しだけ緊張が混じっていた。
そこへ、扉がゆっくり開く。
「……おはよう……昨日は疲れすぎて死んだように寝た……」
眠そうな顔のハリスがふらりと入ってきた。
その後ろから、マーティンが慎重に包みを抱えて現れる。
「マーティン!」
アルトが駆け寄る。
「無事でよかった……!」
マーティンは小さく頷き、机の上に包みを置いた。
「見せよう。これが――潮晶石だ」
布を開いた瞬間、青白い光が部屋いっぱいに広がった。
まるで脈打つように、淡い光が揺れている。
「……これが潮晶石……!」
アルトの瞳が大きく見開かれる。
「すごい……」
リオルが思わず手を伸ばしかけたが、マーティンに止められた。
「素手は危険だ。魔力が強すぎる」
リオルは慌てて手を引っ込める。
◇
マーティンは机に器具を並べ、昨日の分析結果を説明し始めた。
「まず、魔力の通しやすさが異常だ。そして回路の安定性も高い。
義手に組み込めば、魔力暴走のリスクは大幅に減る」
皆が息を呑む。
「これなら……義手が完成するかもしれない」
マーティンの声には、確かな手応えがあった。
◇
「じゃあ、どうやって加工するの?」
アルトが身を乗り出す。
「潮晶石は硬いが、魔力を流しながら削れば形を整えられる。
ただし、扱いを誤ると砕ける。慎重にやるぞ」
マーティンが工程を説明すると、自然と全員が動き始めた。
「素材の調合は任せてください」
リオルが薬品棚を開く。
「補強布、持ってくる!」
ユナが走り出す。
「工具の整備は俺がやる」
カイが腰の工具袋を広げる。
アルトは机に向かい、回路の再設計に取りかかった。
紙の上に描かれる線は、以前よりも複雑で、しかし迷いがない。
◇
その様子を見ながら、ハリスがぽつりと呟いた。
「次はもっと上手くやるよ。落石はもう勘弁だ」
その言葉に、みんなが笑った。
「天井は壊さないでね」
「ハリスさんならできるよ」
笑い声が広がる中、ハリスの表情には確かな決意が宿っていた。
◇
やがて、アルトとマーティンが潮晶石の加工に取りかかる。
魔力を流し込むと、石は淡く脈打ち、部屋が青白い光に包まれた。
「……綺麗……」
ユナが思わず呟く。
アルトは光を見つめながら、小さく息を吸った。
「……これが完成すれば、あの人はまた戦える」
その言葉は静かだったが、部屋にいた全員の胸に深く響いた。
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