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長い一日の終わりに

 洞窟を出た一行は、潮晶石を慎重に包み込みながら、ゆっくりと海岸へ戻っていた。

 戦闘の疲労が全身に残っているが、誰もがどこか晴れやかな表情をしている。

「よくやったな。全員、生きて帰ってこられた」

 キセルが大剣を肩に担ぎながら、仲間たちを労った。

「もうコウモリは嫌だ……」

 シルがぐったりと肩を落とす。

 その横で、ハリスは珍しく落ち込んだ顔をしていた。

「俺のせいで落石起こしたし……。ほんと、悪かったよ……」

 キセルは笑ってハリスの背中を叩く。

「強い奴ほど、失敗も派手なんだ。気にすんな」

「……そうか?」

 ハリスが少しだけ顔を上げる。

 海岸に出ると、夕日が水平線に沈みかけていた。

 橙色の光が波に反射し、洞窟の暗さとは対照的な温かさを感じさせる。

「少し休もう」

 マーティンが潮晶石の包みを膝に置き、慎重に開いた。

 青白い光がふわりと漏れ、全員の顔を照らす。

「……状態は良好だ。傷も少ない」

 マーティンは安堵の息をついた。

 キセルたちと別れ拠点に戻ると、マーティンはすぐに机へ向かい、潮晶石の分析を始めた。

 マーティンは測定器具を並べ、潮晶石に魔力を流し込む。

「これは……想像以上だ」

 ハリスが覗き込みながら言う。

「何が?」

「魔力の通しやすさが異常だ。

 それに、魔力回路の安定性が段違い。

 義手に組み込めば、魔力暴走のリスクが大幅に減るはずだ」

 マーティンの声には、興奮が混じっていた。

「つまり……アルトの望む義手が、完成に近づくってことか?」

 ハリスが尋ねる。

「ああ。これなら、彼の回路を最大限に活かせる」

 潮晶石は淡く脈打つように光り、まるで応えるように輝いた。

 マーティンは潮晶石を丁寧に布で包み直し、そっと机に置いた。

「今日はここまでにしよう。

 明日、アルトたちにも見せてやらないとな」

 その言葉に、ハリスは疲れた顔のまま微笑んだ。

 長い一日だったが、確かな成果を手にした帰還だった。

本作をお読みいただきありがとうございます。

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