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青光の奥に潜む影

 洞窟の奥へ進むにつれ、空気はさらに冷たく、重くなっていった。

 魔力が渦を巻くような圧迫感が肌にまとわりつく。

「……魔力が集まってる。間違いない」

 ジャックが低く呟いた。

 その言葉と同時に、奥の闇が揺れた。

 ――バサァッ。

 巨大な影が天井から滑り落ちるように現れる。

 コウモリ型の大型モンスター。

 その体表は魔力を帯びて青黒く光り、目は鋭く光っていた。

「でかっ……!」

 シルが息を呑む。

「来るぞ!」

 キセルが大剣を構え、前に出た。

 モンスターは魔力に反応するように、一直線に突っ込んでくる。

 その速度は、目で追うのも難しいほどだ。

「くっ……!」

 キセルが大剣で受け止めるが、衝撃で足が滑る。

 シルが矢を放つが、モンスターは魔力の揺らぎを察知して避ける。

「魔力に反応してる……!」

 ジャックが風魔法で牽制するが、やはり当たらない。

 その間、マーティンとハリスは後衛で防護魔法を展開していた。

「防御は任せろ!」

 ハリスが魔力障壁を張り、マーティンが補助の結界を重ねる。

 しかし――攻撃が通らない。

「このままじゃ埒があかない……!」

 シルが焦りの声を上げた。

 その時、マーティンが腰の袋から短剣を取り出した。

 アルトが作った、魔力回路入りの武器だ。

「……試すしかないな」

 マーティンは短剣に、ほんの少しだけ魔力を流した。

 ――スッ。

 短剣は音もなく飛び、モンスターが気づいた時には、すでに胸元へ到達していた。

 ――ドスッ!

 モンスターの動きが止まる。

「当たった……!」

 シルが驚きの声を上げる。

「今だ、追撃!」

 キセルが叫ぶ。

 シルが弓矢を構え、ジャックが風で軌道を補助し、矢は一直線にモンスターの翼を貫いた。

 モンスターが苦鳴を上げて暴れる。

「時間を稼ぐ!」

 マーティンが叫び、地面に手をつく。

 ハリスも同時に魔力を放つ。

「凍れぇぇぇっ!」

 二人の魔力が重なり、洞窟の床一帯が一瞬で氷に覆われた。

 モンスターの足が滑り、体勢を崩す。

「今だ、行け!」

 マーティンが叫ぶ。

「任せろ!」

 キセルが大剣を振りかぶり、シルが矢をつがえ、ジャックが魔法陣を展開する。

 三人の攻撃が一斉に叩き込まれ――


 ――ズシャァッ!


 モンスターは大きな音を立てて崩れ落ちた。

 洞窟に静寂が戻る。

「……倒した、のか?」

 シルが息を整えながら言う。

「倒したよ。よくやった」

 キセルが仲間の肩を叩く。

 ハリスは胸を撫で下ろし、マーティンは短剣を見つめて小さく呟いた。

「……アルト、すごいな」

 モンスターの奥には、青白い光が満ちていた。

「……あれが」

 ジャックが息を呑む。

「潮晶石だ」

 マーティンが前に進む。

 壁一面に、青白く輝く結晶が張り付いていた。

 魔力が脈打つように光り、洞窟全体を照らしている。

「採るぞ。慎重にな」

 マーティンは慣れた手つきで工具を取り出し、結晶を丁寧に削り取っていく。

 キセルたちは周囲を警戒し、ハリスは結界を張り続け、ジャックとシルが光を照らす。

 やがて、マーティンが満足げに頷いた。

「……これだけあれば十分だ」

 潮晶石の淡い光が、仲間たちの顔を照らす。

 長い戦いの末、ついに目的の素材を手に入れたのだった。

本作をお読みいただきありがとうございます。

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