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落石と青白い光

 朝の拠点には、潮風とともに冒険者たちの気配が満ちていた。

 大剣を背負ったキセルが腕を組み、

 魔法使いのジャックは静かに魔力灯の準備をし、

 弓使いのシルは地図を広げている。

「潮の満ち引きで足場が変わるから、気をつけてね」

 シルが指で地図をなぞりながら言うと、

 ハリスが胸を叩いて笑った。

「任せろって!」

「その軽さが一番危ないんだが」

 ジャックがぼそっと呟き、みんなが笑った。

 しかし、その笑いの奥には、これから向かう洞窟への緊張が確かにあった。

 海沿いの道は風が強く、波の音が絶えず響いていた。

「こんな場所に本当に石があるの?」

 シルが不安げに言う。

「潮晶石は潮の魔力が集まる場所にできる。理屈は合ってる」

 ジャックが淡々と答える。

「じゃあ俺の魔法で潮の魔力を集めれば――」

「やめろ。絶対にやめろ」

 マーティンが即座に止めた。

 キセルが笑いながら肩を叩く。

「まあまあ、落ち着けよ」

 洞窟の入口は薄暗く、ひんやりとした空気が漂っていた。

 ジャックが魔力灯を点けると、壁に淡い光が揺れる。

「おお、雰囲気あるな!」

 ハリスがテンション高く声を上げる。

「静かに。音で魔物が寄るから」

 シルが鋭く注意した。

 その直後――

 カランッ。

 ハリスが足を滑らせ、小石を落とした。

「……今の音で寄ってくるぞ」

 キセルが低く言う。

「ごめん」

 ハリスが小さくなる。

 洞窟の奥から、羽音が響いた。

「来た……!」

 コウモリ型モンスターが群れを成して襲いかかってくる。

「前は任せろ!」

 キセルが大剣を振り抜き、群れを切り払う。

 シルは素早く矢を放ち、正確に撃ち落とす。

 ジャックは風魔法で動きを散らし、

 マーティンは氷魔法で動きを止める。

「よし、まとめて――!」

 ハリスが火魔法を放った瞬間だった。

 火球が天井に直撃し――

 ゴゴゴゴ……ッ!

「うわあああああっ!」

 天井から岩が崩れ落ちる。

 キセルがシルを抱えて飛び退き、

 ジャックがマーティンを引っ張る。

「やべっ!」

 ハリスも慌てて逃げる。

 なんとか全員無事だったが、洞窟の一部が塞がってしまった。

「ごめん!ほんとごめん!」

 ハリスは土下座しそうな勢いで謝る。

「……だから言っただろう」

 ジャックがため息をつく。

 しかしキセルは笑って肩を叩いた。

「まあ、ハリスらしいよ」

「怪我がなくて良かった」

 シルも微笑む。

 空気が少し和んだその時――

「……魔力反応がある」

 マーティンが塞がれた岩の隙間を指さした。

 青白い光が、かすかに漏れている。

 全員が息を呑む。

「結果オーライってやつ?」

 ハリスが言った瞬間、ジャックに小突かれた。

「痛っ!」

 笑いがこぼれる中、彼らは光の差す方へと歩みを進めた。

本作をお読みいただきありがとうございます。

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