落石と青白い光
朝の拠点には、潮風とともに冒険者たちの気配が満ちていた。
大剣を背負ったキセルが腕を組み、
魔法使いのジャックは静かに魔力灯の準備をし、
弓使いのシルは地図を広げている。
「潮の満ち引きで足場が変わるから、気をつけてね」
シルが指で地図をなぞりながら言うと、
ハリスが胸を叩いて笑った。
「任せろって!」
「その軽さが一番危ないんだが」
ジャックがぼそっと呟き、みんなが笑った。
しかし、その笑いの奥には、これから向かう洞窟への緊張が確かにあった。
◇
海沿いの道は風が強く、波の音が絶えず響いていた。
「こんな場所に本当に石があるの?」
シルが不安げに言う。
「潮晶石は潮の魔力が集まる場所にできる。理屈は合ってる」
ジャックが淡々と答える。
「じゃあ俺の魔法で潮の魔力を集めれば――」
「やめろ。絶対にやめろ」
マーティンが即座に止めた。
キセルが笑いながら肩を叩く。
「まあまあ、落ち着けよ」
◇
洞窟の入口は薄暗く、ひんやりとした空気が漂っていた。
ジャックが魔力灯を点けると、壁に淡い光が揺れる。
「おお、雰囲気あるな!」
ハリスがテンション高く声を上げる。
「静かに。音で魔物が寄るから」
シルが鋭く注意した。
その直後――
カランッ。
ハリスが足を滑らせ、小石を落とした。
「……今の音で寄ってくるぞ」
キセルが低く言う。
「ごめん」
ハリスが小さくなる。
◇
洞窟の奥から、羽音が響いた。
「来た……!」
コウモリ型モンスターが群れを成して襲いかかってくる。
「前は任せろ!」
キセルが大剣を振り抜き、群れを切り払う。
シルは素早く矢を放ち、正確に撃ち落とす。
ジャックは風魔法で動きを散らし、
マーティンは氷魔法で動きを止める。
「よし、まとめて――!」
ハリスが火魔法を放った瞬間だった。
火球が天井に直撃し――
ゴゴゴゴ……ッ!
「うわあああああっ!」
天井から岩が崩れ落ちる。
キセルがシルを抱えて飛び退き、
ジャックがマーティンを引っ張る。
「やべっ!」
ハリスも慌てて逃げる。
なんとか全員無事だったが、洞窟の一部が塞がってしまった。
◇
「ごめん!ほんとごめん!」
ハリスは土下座しそうな勢いで謝る。
「……だから言っただろう」
ジャックがため息をつく。
しかしキセルは笑って肩を叩いた。
「まあ、ハリスらしいよ」
「怪我がなくて良かった」
シルも微笑む。
空気が少し和んだその時――
「……魔力反応がある」
マーティンが塞がれた岩の隙間を指さした。
青白い光が、かすかに漏れている。
全員が息を呑む。
「結果オーライってやつ?」
ハリスが言った瞬間、ジャックに小突かれた。
「痛っ!」
笑いがこぼれる中、彼らは光の差す方へと歩みを進めた。
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