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材料を求めて

 放課後の教室。

 夕陽が差し込み、机の影が長く伸びていた。

「今日、ジャックさんたちに会いに行こうと思う」

 アルトが鞄を肩にかけながら言うと、ユナが即座に手を挙げた。

「私も行くよ。材料の話、気になるし」

「俺も行く。どうせ帰り道だしな」

 カイも軽く笑って同行を申し出た。

 三人は連れ立って校舎を出る。

 海風が吹き抜け、潮の匂いが夕暮れの街に漂っていた。

 冒険者ギルドは夕方で混雑していた。

 依頼を終えた冒険者たちが報告に並び、受付の前には長い列ができている。

 ざわめきと金属音が混ざり合い、活気に満ちた空気が漂っていた。

 その中で、見慣れた二人の姿が入口から現れた。

 ジャックとシルだ。

 どちらも疲れた様子だが、アルトたちに気づくと笑顔を見せた。

「お、久しぶりだな」

「元気そうでよかったよ」

 軽い挨拶を交わし、三人はほっと胸をなでおろした。

「今日は相談があって来ました」

 アルトが切り出すと、ジャックが首を傾げる。

「相談?」

「魔力を通しやすくて、補強に使える素材を探していて……」

 ジャックは腕を組み、少し考え込んだ。

 その横で、シルがぽんと手を叩く。

「弓矢に使われる補強の材料とかどうかな?」

「弓矢……?」

 アルトが首をかしげると、シルは説明を続けた。

「潮晶石っていう素材。海岸近くの洞窟で採れるんだ。

 魔力を通しやすくて、強度も上がる。弓の補強にも使われるよ」

「潮晶石……」

 アルトはその名前を繰り返し、胸の中に小さな希望が灯るのを感じた。

 しかし、ジャックが表情を引き締める。

「ただし、潮晶石の洞窟は魔物が出る。

 それに、あそこは冒険者と騎士団以外立ち入り禁止だ」

 その言葉に、三人は一瞬言葉を失った。

 アルトたちはまだ冒険者登録をしていない。

 つまり、自分たちだけでは行けない場所だ。

 沈黙を破ったのはカイだった。

「……一人だけ、冒険者登録してる人がいる」

 その言葉に、アルトとユナが同時にカイを見る。

「誰?」

「マーティンだよ」

「マーティンだよ」

 確かに、マーティンはすでに冒険者登録を済ませていると言っていた。しかし、ただでさえ義手の作成を任せているのに、さらに負担をかけるのは気が引ける。

 アルトの胸に、申し訳なさと頼りたい気持ちが入り混じる。

 ジャックはそんな三人の様子を見て、肩をすくめた。

「俺たちが案内するか、取ってきてもいいが……」

 そう言いかけて、すぐに首を振る。

「今は討伐依頼が立て込んでいて、すぐには動けない」

 忙しさが顔に出ている。

 無理を言える状況ではなかった。

 アルトは深く頭を下げた。

「いえ……無理は言いません。

 こちらでも、その……マーティンに確認してみます。

 どちらであっても、準備が整ったらお願いします」

 ジャックとシルは優しく頷いた。

「わかった。落ち着いたら連絡するよ」

「素材の扱い方も教えるから、心配しないで」

 ギルドを出る頃には、空はすっかり夕焼けに染まっていた。

 潮風が頬を撫で、遠くで波の音が聞こえる。

「潮晶石か…そんなのあるなんて知らなかったな…。本当に使えるといいね」

 ユナがつぶやく。

「うん。まずは、できることからだね」

 アルトは小さく拳を握った。

 カイは前を向いたまま、静かに言う。

「ハリス叔父さんにも話してみよう。

 きっと、何か方法があるはずだ」

 三人の影が夕陽に伸び、海岸沿いの道に重なった。

本作をお読みいただきありがとうございます。

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