空き家の掃除
翌朝。
海岸沿いの空き家には、潮の匂いを含んだ風が静かに吹き込んでいた。
アルト、マーティン、ハリス、カイ、ユナの五人は、昨日と同じ場所に再び集まった。
「今日から本格的に片付けですね」
アルトが気合いを入れて言う。
「任せろ」
ハリスは掃除道具を抱え、頼もしく笑った。
マーティンは手元のメモを確認しながら、今日の作業計画を整理している。
まずは家具の位置を動かし、古い布や壊れた道具を外へ運び出す。
埃が舞い上がるたび、窓から入る海風がそれをさらっていった。
「ここ、思ったより広いね」
ユナが感心したように部屋を見渡す。
「昔は商人の倉庫だったらしいよ」
カイが説明する。
アルトが窓を大きく開けると、潮風が一気に流れ込み、空気が軽くなった。
「換気は十分だな」
ハリスが満足げに頷く。
片付けが進むにつれ、部屋の全体像が見えてきた。
マーティンは作業台を置く位置を慎重に決め、アルトは材料を置く棚の場所を提案する。
「火を使うなら、こっちの方が安全だな」
ハリスが壁際を指さす。
「電灯の魔石は交換した方がいいかも」
カイが天井を見上げながら言う。
「掃除は任せて」
ユナは床を丁寧に磨き始めた。
役割分担が自然と決まり、作業はどんどん進んでいく。
「魔力計測器は学校から持って来れるように先生に交渉しよう。錬金術部の魔力計測器がそのままになっていて埃をかぶっていた。場合によってはもらえるのかもしれない。」
マーティンが言う。
「材料は私が管理するよ」
アルトが胸に手を当てて宣言した。
「重い物は俺が運ぶ」
ハリスが頼もしく腕をまくる。
「近所の人にも挨拶しておくよ。変な噂が立たないようにね」
カイが笑う。
「私も手伝えること探すね」
ユナも明るく言った。
気づけば、空き家はすっかり片付いて、作業場らしい雰囲気に変わっていた。
窓から差し込む夕陽が部屋を金色に染め、埃の粒がきらきらと舞う。
「これで準備は整った」
マーティンが静かに言った。
「よし、気合い入れていくぞ」
ハリスが笑い、拳を軽く握る。
海風が心地よく吹き抜ける中、アルトたちの新しい拠点が完成した。
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