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海岸沿いの街

 放課後の柔らかな陽射しの中、アルト、マーティン、ハリス、カイ、ユナの五人は並んで歩いていた。

 王都の中心から外れ、海岸へ向かう道は次第に人通りが少なくなる。

 潮の匂いが風に乗って漂ってきた。

「ここは初めて来ました」

 アルトは興味深そうに周囲を見回した。

「治安が悪いって話だったが……」

 ハリスは周囲を警戒しながら歩く。

 マーティンは無言で、しかし鋭い目で街並みを観察していた。

「昼間はまだ安全だけど、夜はあまり出歩かない方がいいよ」

 ユナが説明する。

「ここだよ」

 カイが立ち止まり、指さした先には、海風にさらされた古い家が数軒並んでいた。

 どれも人が住んでいないが、倒壊するほどではない。

 壁の塗装は剥がれ、窓枠は少し錆びているが、どこか温かみのある佇まいだった。

「思ったより綺麗」

 アルトが驚いたように言う。

「手入れはされてるみたいだな」

 ハリスが感心したように家の外壁を軽く叩く。

「作業場としては十分な広さがありそうだ」

 マーティンが冷静に分析する。

 カイが鍵を取り出し、古い扉を開けた。

 ギィ……と少し重い音が響く。

 中は薄く埃が積もっているが、床も壁もしっかりしていた。

 窓から差し込む光が、静かな空間を柔らかく照らす。

 マーティンは部屋の広さや窓の位置を確認しながら歩き回る。

「ここなら作業できそうだ」

 彼は小さく呟いた。

「換気もできるし、火を使う作業も問題なさそうだな」

 ハリスが窓を開けながら言う。

「ここ、昔は商人の家だったんだよ」

 ユナが補足した。

 アルトは部屋を見渡しながら言った。

「材料は置かずに、その都度運んだ方がいいね」

「魔力計測器などの精密機器は持ち帰るべきだ」

 マーティンが頷く。

「俺が見回りに来てもいいぞ」

 ハリスが頼もしく胸を叩いた。

「近所の人も顔見知りだから、変な人が来たらすぐわかるよ」

 カイが笑う。

「空き家が埋まるのは地域にとっても助かるしね」

 ユナも嬉しそうに言った。

 アルトは深呼吸し、静かに言った。

「……ここを拠点にしましょう」

 マーティンが頷く。

「では、明日から片付けと準備を始めよう」

「よし、俺も手伝う!」

 ハリスが拳を握る。

「私たちも協力するよ」

 カイとユナが笑顔で言った。

 潮風が窓から吹き込み、薄い埃を揺らした。

本作をお読みいただきありがとうございます。

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