表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/72

第2の壁


 翌日。

 アルト、マーティン、ハリスの三人は並んで職員室へ向かった。

 扉を開けると、教師たちの書類をめくる音が静かに響く。

「先生、錬金術部の部室の鍵を貸してもらえませんか」

 ハリスが代表して声をかけた。

 呼ばれた先生は渋い顔で三人を見た。

「……何をするつもりだ。

 それに、あそこは事故が起きた部室だ。原則、生徒を入れることはできない」

 三人は顔を見合わせた。

「そこをどうにかできませんか」

 ハリスが食い下がる。

「一般の生徒に貸し出すのは難しい。

 教師がついていても、許可は下りないだろう」

 先生の言葉はきっぱりしていた。

 これ以上は無理だと判断し、三人は一旦引き下がることにした。



 裏庭に出ると、三人は同時に肩を落とした。

「……どうするんだよ、これ」

 ハリスが頭をかく。

 そのとき、見覚えのある男子生徒が近づいてきた。

 防災訓練のリーダーだった上級生だ。

「お前ら、どうしたんだ? 浮かない顔してるな」

 彼はアルトに視線を向けた。

 そこへユナとカイも駆け寄ってくる。

「アルト、何かあったの?」

 事情を聞いた男子生徒は、少し考えてから言った。

「部活を作るってのはどうだ?

 部活動なら、錬金術部が使ってた部室を指定できるかもしれない。

 実績があれば、貸し出してもらえる可能性もある」

「詳しいですね」

 マーティンが疑問を口にする。

「俺も昔、部活を立ち上げたんだよ。

 その時、人が集まらなくて廃部になった部室を使わせてもらったことがある」

 男子生徒は苦笑した。

「ただし、最低でも四人は必要だ。

 四人未満だと同好会扱いで、部室はもらえない」

「初等部の私たちでも作れるんですか?」

 ユナが尋ねる。

「初等部は無理だな」

 男子生徒とハリスが同時に答えた。

「ただし、実績があれば初等部の人員が入った例もある。…錬金術部も過去に実績のある初等部の人員が入った事例があったな。」

 マーティンが補足する。

「じゃ、俺は部活があるから行くわ」

 男子生徒は手を振って去っていった。

 残された一同は顔を見合わせる。

「一度義手義足を完成させて、ラピスが戦えるようになって……

 その義手義足を商売にできるようになれば、実績になるんじゃないか?」

 カイが提案した。

「なるほど」

 一同が頷く。

「でも、どこで作業するんだ?」

 マーティンが現実的な問題を口にする。

「さすがにアルトを男の貴族の家に入れるのはまずいだろ。変な噂が立つ」

 ハリスが言う。

「じゃあ……俺の家の近くの空き家はどうだ?」

 カイが手を挙げた。

「結構広い部屋のある家がいくつか空いてる。そこを拠点にすればいい」

「それでいいのか?」

 アルトとマーティンが驚いたように顔を見合わせる。

「空き家が増えて治安が悪くなるのも問題だからね。埋めてもらえるなら助かるよ」

 ユナも賛成した。

「治安の悪さなら、俺たちでどうにかなるだろ」

 ハリスが胸を叩く。アルトは少し考え、

「防犯のためにも、材料は置かずにその都度運ぶか……もしくは、信頼できる誰かに住んでもらうのもありですね」

と呟いた。

「じゃあ、一度見に行ってみるか」

 カイが笑う。

 放課後の金の音を聞きながら、一同はカイとユナの地域へ向かって歩き出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ