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図書館の机で

 鍛冶屋を出ると、夕方の風が三人の頬を撫でた。

 アルトは胸の前で材料リストを抱え、ほっとしたように息をつく。

「代替素材でも十分だろ」

 ハリスが明るい声で言う。

「問題は回路設計だ」

 マーティンは冷静に続けた。

「帰ったら図面を描き直す」

「俺も手伝おう」

 ハリスは迷いなく言った。

「私にもできることあるかな、マーティン」

 その言葉に、マーティンはわずかに目を細める。

「では、明日高等部の図書館に来てほしい。そこで図面をいくつか書き出そうと思う。材料の収集のリストも作成したい」

 アルトは「とても頼もしいです」と笑い、三人は並んで歩き出した。



 翌日。

 アルトは高等部の図書館の扉をそっと開けた。

 静かな空気の中、紙をめくる音とペンの走る音だけが響いている。

 奥の机では、マーティンとハリスが頭を突き合わせて図面を書いていた。

 マーティンは真剣な表情で線を引き、ハリスは横から覗き込みながら何か意見を言っている。

「来たか、アルト」

 マーティンが顔を上げ、手元の図面を広げた。

「代替素材を使う場合、魔力の流れ方が変わる」

 図面には複雑な線がいくつも描かれている。

「だから回路の形を少し変える必要がある」

「ここをこうすると……魔力が安定するんですか?」

 アルトは指先で図面をなぞりながら尋ねる。

「そうだ。素材の特性に合わせて調整する」

 マーティンは淡々と説明を続ける。

 アルトは真剣に聞き入り、時折質問を挟む。

 ハリスは「難しい話だな」と言いながらも、どこか楽しそうに答える。

 説明が一段落すると、マーティンは図面をまとめて言った。

「明日から試作に取りかかる」

「はい。素材の整理、私がやっておきます」

 アルトは机に材料リストを広げ、必要なものを一つずつ確認し始めた。

 図書館の静けさの中で、三人の作業音だけが淡々と響いていた。

 試作に向けて、確かな準備が進んでいく。


「そういえば、試作はどこでやるんでしょうか?」

「廃部になった錬金術部の部屋を借りようと思っている」

「!?」

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