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鍛冶屋の答え

 翌日、アルトはハリスとマーティンの二人とともに鍛冶屋へ向かっていた。

 ラピスはまだ長距離の移動が難しいため、今日は家で休んでいる。

「……素材、やっぱり高騰してるんですよね」

 歩きながら、アルトが不安そうに呟く。

「そうだな。だが――」

 マーティンは淡々と続ける。

「情報を得るだけでも前進だ。何も知らないまま悩むよりはいい」

「……はい」

 アルトは胸の前で材料リストを握りしめ、深呼吸した。

 鍛冶屋の前に着くと、店主がちょうど店の奥から出てきた。

 アルトを見るなり、目を丸くする。

「おう、坊主……また来たのか」

「坊主じゃなくて嬢ちゃんだな」

 ハリスが笑いながらアルトの方に向いた。

「嬢ちゃん…?そうだったのか。悪い悪い」

 店主は頭をかきながら、気まずそうに笑った。

「今日はどうした?」

 アルトは材料リストを差し出し、まっすぐ店主を見上げた。

「義手義足の改良に必要な金属について、教えてほしいんです」

「ほう……義手義足か」

 店主は腕を組み、リストをざっと目で追った。

「魔力耐性の高い金属か……この間も言ったが、今は手に入りづらいぞ」

「やっぱり……」

 アルトが小さく呟くと、店主は重い口を開いた。

「搬入路にモンスターが出てから少し経ったがまだ討伐が終わってなくてな。

 護衛を雇わねぇと運べねぇから、相変わらずコストが跳ね上がってる。

 それに、モンスターの影響で採掘量自体も減ってるらしい。

 商人どもは危険を避けて別ルートに回ってるから、余計に物が来ねぇ」

「そんなに……」

 ハリスは思わず息を呑んだ。

「素材が足りねぇのは王都全体の問題だ。」

 店主は断言するように言った。

 アルトは少しだけ肩の力を抜いた。

「で、どうするかだが……」

 店主は指を折りながら、いくつかの案を挙げていく。

「まず一つ。別の街から取り寄せる方法だ。ただし高ぇし、時間もかかる」

「……ですよね」

「二つ目は、冒険者ギルドに依頼することだな。モンスター討伐と素材採取をセットで頼む。もちろん依頼料は必要だ」

 マーティンが「まあ妥当だな」と頷く。

「三つ目。代替素材を使う方法だ。魔力耐性は落ちるが、試作には使える」

「試作段階なら十分だ」

 マーティンが静かに言った。

「最後に……」

 店主は店の奥をちらりと見た。

「俺の隠し在庫だ。少量だけ残ってる。ただし高価だし、お前らの事情次第ってところだな」

 アルトはしばらく考え、そして顔を上げた。

「……代替素材で、試作してみたいです。まずは形にしてみないと、何も始まらないので」

「いい判断だ」

 マーティンが頷く。

「回路設計を調整すれば、代替素材でも十分使える」

「よし、まずは試作品だな!」

 ハリスが楽しそうに笑った。

 店主も口元を緩める。

「やる気があるなら協力してやるよ。必要な素材、まとめておいてやる」

「ありがとうございます!」

 アルトは深く頭を下げた。

本作をお読みいただきありがとうございます。

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