表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/31

長屋と貴族と教会と

放課後、アルトの案内でリオルと従者が長屋へ向かっていた。

細い路地、古い木造の家々、干された洗濯物。

リオルは思わず顔を顰めた。

「……アルト、君、ここに住んでるのかい?」

「はい」

アルトは淡々と答える。

リオルはしばらく黙り、アルトの所作や言葉遣いを思い返した。

「……君の話し方や立ち居振る舞いから、まさか長屋暮らしとは思わなかったよ」

アルトは首を傾げた。

「そう?」

「そうだよ。困ったことがあれば、もっと頼ってほしい。僕は君の友達なんだから」

アルトは少しだけ目を丸くした。

「……ありがとう、リオル」

その言葉に、リオルは微笑んだ。



アルトが扉を開けると、

近所のおばさんが鍋をかき混ぜていた。

「あっ、アルトちゃん。

ご飯作ったからラピスさんと一緒に食べなさいね」

おばさんは振り返り──

貴族然としたリオルと従者を見て固まった。

「ひ、ひぇっ……!あ、あの……お、お茶……いえ、お水……?」

慌てふためくおばさんに、リオルは優しく微笑んだ。

「お気になさらず。僕たちはただの客です」

「そ、そうですか……じゃ、じゃあ……失礼しますね……!」

おばさんは逃げるように退出した。

リオルは部屋の奥に目を向けた。

布団の上に横たわるラピスを見て、思わず声を漏らす。

「……男性だったのか」

アルトは淡々と頷く。

「うん?そういえば、そうだね」

リオルは一瞬だけアルトを見て、従者に指示を出した。

「運ぶのを手伝ってくれ。慎重に」

従者は頷き、ラピスを抱え上げた。



教会の白い石造りの建物は、長屋とは別世界のように静かで清潔だった。

アルト、ラピス、リオル、従者の四人が中へ入る。

「神官様、治療をお願いしたいのですが」

リオルが声をかけると、白衣をまとった神官が振り返った。

「承りました。こちらへ」

ラピスは治癒室に運ばれ、神官が手をかざすと、淡い光が広がった。

傷口が閉じ、血が止まり、ラピスの呼吸が落ち着いていく。

だが、右腕と右足は、そのままだった。

神官は静かに言った。

「欠損は……治癒魔法では戻りません。

記憶喪失も、回復は難しいでしょう」

アルトは小さく息を呑んだ。

リオルが続けて尋ねる。

「義手と義足は?」

「ご用意できます。

しばらくは教会で入院していただきますので、リハビリを行いましょう。」

ラピスはゆっくりと体を起こし、

アルトとリオルを見た。

「……助けてくれて、ありがとう」

アルトは首を振った。

「当然のことをしただけです」

リオルは微笑んだ。

「僕はアルトの助けになれたらいいだけだから」

ラピスは静かに頭を下げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ