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彼らは、にこやかに笑いながら楽しそうにはしゃいでいた。


その光景を目に焼き付けて、アリアは思う。


この光景があるのはーーー無人がこの街に襲いに来ていないから。


だからこそ保てる平和なのだ。


しかし、その平和も目の前に迫ってくる地獄から逃げるための紛らわしに過ぎないのかもしれない。


この街にいる大半の人間は知っていた。

この街に無人が迫っていることに。


近くに無人がいることに。

気付いていながら、この騒ぎようである。


なら、答えは一つ。


不安の焦燥に紛れた街の雰囲気を一蹴するために行われているのかもしれないと。


そう思ったら気が気でなかった。


一刻も早く無人の脅威を無くして、この街に本当の活気を出して欲しいと。


そう切実に願ってーーー


「う〜ん、止めておく……。早く無人倒さないといけないから今日はここまでにしとく」


私達が何の為にこの街に来たのか。


それは、ホルノマリン街に現れた無人の脅威から避けるためだ。


なら、遊ぶことより先にやらなければならないことがある。


遊ぶのなんて二の次にやればいい。


「かしこまりました。では、宿に戻りましょうか」


アルマリアはアリアに対してお辞儀をし、彼女の意見に従った。


お辞儀をし終えたアルマリアが顔を上げて、ちらりとロンドの方を見た。


「貴方はどうしますか?」


アリアの隣にいたロンドに問いかけた。


彼は辺りの雰囲気を堪能しながら辺りを見渡していたが、アルマリアに声を掛けられて彼女の方を見た。


「ん?俺か?俺も宿適当に探して今日は眠るとするさ。無人との戦闘で疲れちまったしな……ふわぁ」


答えながら欠伸をする彼を見て、アルマリアは言った。


「左様ですか。なら、私達は先に失礼しますね」

「おう、また明日頼むぜ。俺はどうすりゃいい?」

「そうですね……、私達の宿の場所を教えますので、明日そこに来てください」

「分かった」


そう言ってロンドは、アリア達に背中を向けて行ってしまう。


そのまま適当な路地に入り、姿が見えなくなってしまった。


残された二人はしばらくその場で立ち尽くす。

やがて、先に声を出したのはアリアだった。


「ねぇ、アルマリア。あそこは普通、『私達と一緒にどうですか?』って言うべきだったんじゃないの?」

「何を言うんですかお嬢様?お嬢様だって、『私達と一緒にどう?』と仰れば宜しかったではないですか」

「……それは」


アリアは答えられない。

何故その言葉が出てこなかったのか。


その答えはーーー彼の瞳にあった。


アルマリアの問いかけに応じたロンドがこちらを向いた時の瞳。


それが見えた瞬間ーーーアリアは察知してしまった。


何やら悲しげな雰囲気を身に纏っていた彼に、どうしても一緒にと誘うことが出来なかったのだ。


「何か……、あったのかな?」

「分かりません。まだ会って間も無い彼がどういう人間なのか私には分かりません。ただ、戦闘に参加してくれるようでしたし、問題はないと思いたいですが……」


と、若干の不安は残るものの、二人はロンドが去って行った方を向いた。


この世界に住まう人は皆、何か心の蟠りを持って生きている。


それはアリアにしろ。

ここにいる住人にしろ。


万人が抱えている悩みという種が閉じることはない。


無人によって奪われたものが大きければ大きいほど、心の穴はその分深さを増していく。


一度経験したことのあるアリアなら尚更、敏感になるもの無理はない。


彷徨う者。

抗う者。


抵抗する者。

立ち上がる者。


様々な人間がいるこの世界で、人が平和を求めるこの世界を、自分達は果たして救っていけるのだろうかと。


一抹の不安を抱きながら、アリアとアルマリアの二人は彼とは反対方向に歩き出した。


動き出した足取りは重く、しがらみに囚われた兵士のような気怠さを覚えながら帰路に着く。


二人は無言のまま、ユースティスに指定された宿までの道のりを歩いていく。


ユースティスがいる場所はデバイスを通じてアルマリアの目に飛び込んでくる。


そうしてデバイスの画面を逐一確認しながらアルマリアは、彼のいる場所を確かめる。


そこは、街の中心から少し離れた場所だった。

ユースティスの居場所は、デバイスの画面に映る星マークの部分だ。


このデバイスさえあれば、ユースティスが何処に行こうが分かりきってしまう。


普段からフラフラと一人で行ってしまう彼の為にアルマリアが買ったものだが、役に立って良かったと彼女は安堵する。


もしこれがなければ、今頃彼がどこにいるのか分からず途方も無い捜索活動をしているところだったかもしれない。


そんな手間は到底被ると思ったアルマリアは、デバイスを見てふと思う。


随分と辺境の場所の宿を選んだなと。

デバイスを見つめながら、アルマリアは思った。


相変わらず無言なアリアを横目で確認しながら、アルマリアは辺りを見渡した。


気が付けば、街の灯りはポツポツと疎らになり、人通りも少なくなっていた。


その光景を見て思う。

彼が好む場所であったと。


しばらく歩いていると、ようやく一つの灯りがある場所へと辿り着いた。


その場所にはユースティスがいることを示す星マークと合致していた。


目の前に姿を現す宿屋を見つめ、アルマリアは言う。

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