↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者は何度でも蘇る。魔王は玉座の間から出られない。  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
97/216

石壁の五本目

学匠モールの弟子ソラは、石壁に刻まれた五本の線を羊皮紙へ写して比べた。最初の四本は浅く、最後の一本だけ深い。なぜ違うのか、彼は何通りもの図を描いた。

モールは剣の痕だと断定しなかった。工具の刃幅が同じなら、同じ人間が同じ動作でつけたとも限らない。誰かが日時を数えた印かもしれず、古い紋章を消そうとした途中かもしれない。

水路職人ギズが資料を見に来た。彼は五本目の位置が雨だれの落ちる筋に重なると指摘した。石壁の下には昔、水が流れる溝があったという。水を止める板が残っているなら、地面の湿り方も変わるはずだった。

ソラは石壁を直接見に行きたがった。しかし学匠の部屋から東の石壁までは長い道があり、途中には魔族が越えられない境界もある。モールは弟子へ、行ける者が撮った写しを丁寧に読む仕事もあると言った。

午後、斥候ネインから新しい絵が届いた。五本目の線の周りに、以前はなかった小さな欠けが見える。岩が自然に割れたのか、誰かが再び触れたのかは分からなかった。

ソラは欠けの広がりを測るため、同じ大きさの小石を三つ机へ並べた。石の影を動かせば、光の角度によって欠けが大きくも小さくも見える。モールは記録の写しに観察した時刻を加えるよう命じた。森の斥候が描く図は、天候や光の向きでも印象が変わる。弟子は次の写しを頼む手紙を書き、無理に境界へ近づかないよう一行添えた。

ソラは二枚の絵を重ね、欠けの広がりを測った。答えより先に変化だけが見つかる日がある。モールはその数を書き留め、机の上の石を一つだけ動かして紙の端を押さえた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。