四人の影
古い石壁の近くで四人組が再び見られたと、斥候ネインから早馬が来た。槍の女が先頭を歩き、弓の少年は後ろを振り返っていた。剣の男は地面へ膝をつき、何かを探していたという。
隊長レシュは報告を読み、四人が何を見つけたかは分からないまま地図に印を置いた。獣の足跡か、道標か、誰かが落としたものか。城へ続く道は複数あり、同じ地点へ何度も戻る理由も一つではない。
門番ユリは兵が落ち着かないのに気づき、昨夜の鐘の練習を中止した。実際の警報と間違えられては困る。代わりに子供たちと避難倉庫の床を掃き、毛布の乾き具合を確かめた。
昼、ロアは見張り台で剣の男の姿を探した。探すほど木々の影が人の形に見える。ベドは一度望遠鏡を置かせ、遠くの岩と木を区別する練習をした。見たいものだけを見ていれば、いざ本物が現れたとき分からなくなる。
夕方、村の牛を助けられた少年が砦へ来た。剣の男がその後どこへ行ったか尋ねたが、誰も知らない。少年は少し安心したようでもあり、寂しそうでもあった。
ロアは見張りの合間に、四人の歩幅をそれぞれ想像して紙へ書いた。だが遠くから見ただけの記憶は曖昧で、槍の女と荷を背負う男の順番さえ確かではない。ベドは紙を見せてもらい、覚えていない箇所は空けておくよう伝えた。空いたところを想像で埋めるより、次に見たとき確かめる方がよい。ロアは消した跡の残る紙を丁寧に畳んだ。
レシュは少年へ、何か知ったら必ず話すと約束した。危険だからと子供を遠ざけるだけでは、村を守っていることにはならない。石壁の向こうで四人の影は見えなくなったが、砦の灯は消えなかった。




