種を分ける
西の村の集会所には、袋からこぼれた種麦が小さな山を作っていた。家ごとに残った種の量が違い、村長は公平な分け方を決めかねていた。畑の広い家へ多く渡せば収穫は増えるが、小さな畑しか持たない者の冬支度が苦しくなる。
少女ミナの祖母は、まず各家が耕せる畑の広さを聞き、次に家族の人数を尋ねた。働く手が足りない家へ種を渡しすぎても、播けずに傷ませる。種は権利でもあるが、世話をしなければ芽が出ない。
村人の一人が、自分の畑は今年休ませると言い出した。病の母を看るため、春まで耕せない。祖母はその家の分を預かり、来年の種を返す約束を書かせた。
昼過ぎ、荷運びカルが城から届いた乾燥茸を配った。種麦を食べずに済むよう、食料を別に用意したのだ。村長は袋に名前を記し、今日来られなかった家へも届けるよう頼んだ。
集会所の隅では子供たちが、こぼれた種を拾って数えていた。ミナは小さな紙袋に一握りだけ残し、学校の庭へ植えてみたいと言った。祖母は食べるための畑と学ぶための畑を分けるならよいと答えた。
ミナは種を数えるとき、指が冷えて一粒ずつ落としてしまった。祖母は小さな木皿へ十粒ずつ入れる方法を教え、隣にいた幼い子も手伝えるようにした。集会所では難しい計算をする大人の声が響いていたが、木皿を並べる子供たちの仕事も役に立った。配り終わった種を袋へ戻すと、机の上には土の匂いだけが残った。
日暮れ、集会所の床は掃き清められた。種を受け取れなかった家は一つもなかったが、皆が満足したわけでもない。それでも翌春に何を播くか、話し合いを続けられるだけの種は残った。




