↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者は何度でも蘇る。魔王は玉座の間から出られない。  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
89/228

干し麦の秤

西の村から城へ届いた麦袋は、昨年より軽かった。執政官メルドは重さを量り、村へ税を軽くする通知を出そうとした。しかし荷運びのカルは、軽くなった理由の半分は乾燥の仕方が変わったからだと話した。

今年の麦は湿気が少なく、干すと嵩が減る。収穫が悪いことは確かでも、袋数だけ見れば村が必要以上に苦しいように見える。メルドは帳簿を直し、実際の食料になる量で比べるよう命じた。

西の村では少女ミナが、祖母の手伝いで麦を計っていた。祖母は昔の大きな秤を使い、針が揺れるたびに待てと言った。急いで量れば損をする者が出る。ミナは針が止まるまで指を置かずに見守った。

村長は税の軽減を喜んだが、冬の種麦まで食べてしまう家があると心配した。祖母は種にする麦だけ別の壺へ入れ、子供の手の届かない棚へ置く習慣を教えた。腹が減った日に開けたくなる壺ほど、皆で守る必要がある。

城で通知を受け取ったイセラは、税の減った分をどこの備蓄で補うか計算した。兵の食事を急に削るのではなく、祭りで余った乾燥豆を回せる。食卓へ届くまでの道を辿る仕事だった。

荷運びカルは税の計算が終わると、帳簿へ雨量の欄を作ってほしいと申し出た。今年の麦が軽い理由を来年また調べるなら、収穫の時期だけでなく干した日数も必要だという。イセラは余白へ小さな表を書き、村の者に記入を頼んだ。数は誰かを裁くためだけでなく、違いが生まれた事情を忘れないためにも使えるのだった。

夕方、ミナは秤の針を拭いて祖母へ返した。麦袋は小さくなったが、来年も畑へ播く種が残った。祖母はその数を一度数え、戸棚へしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。