門を閉じる順番
東の砦の門は、普段は日暮れまで開けてある。近隣の農民が道具を借りたり、水を飲みに寄ったりするからだ。だが兵ロアの報告を受けた隊長レシュは、昼のうちに門の閉じ方を改めた。
最初に村へ知らせる。次に、砦に残る家畜を内側へ移す。それから橋の見張りを呼び戻す。最後に門を閉める。順番を間違えると、帰って来るべき者を外へ残してしまう。
門番のユリは紙へ順番を書き出し、柱に貼った。若い兵は早く閉めようとしたが、レシュは止めた。まだ村から水を汲みに来る者がいる。危険を伝えず門だけ閉じれば、村は砦に見捨てられたと思うだろう。
午後、村長がやって来た。森に旅人がいると聞いても、すぐ危険だとは思えなかったらしい。レシュは三度死んだ剣の男の話を、事実だけに限って説明した。
村長は長く黙った。魔王が三度倒したなら、三度とも確かに勝ったのだろう。それでも相手が生きているというのは、聞いたこともない。
「子供たちはどこへ避難させればよい」
その問いにはレシュもすぐ答えられた。村の上手にある石の倉庫なら、雨も風も防げる。道は既に掃除してある。
村長は避難先となる石の倉庫を見て、老人が寝られる場所が少ないと気づいた。穀物を積んだ棚を片側へ寄せれば、毛布を広げる床ができる。レシュは兵を貸し、棚の下へ木の板を敷かせた。村の者は食料を運ぶ順番を相談した。倉庫へ入るのが最後になる家もある。誰の荷がどこにあるか分かるよう、戸口に札を並べた。
重い棚は老人だけでは動かせず、若者たちが力を貸した。
夕方、門はいつもより少し早く閉まった。中には家畜の匂いが残り、兵の食事の数が増えた。




