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勇者は何度でも蘇る。魔王は玉座の間から出られない。  作者: 竜太郎


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戻る足音

兵ロアは砦へ戻る途中、背後の葉擦れを何度も振り返った。年長のベドは急ぐなと手で示した。走れば物音が増え、相手が本当に追って来ているか分からなくなる。

二人は谷を下り、古い水路のそばで止まった。そこからなら砦へ通じる坂が見える。ベドは耳を澄ませた。鳥の声、川の音、その間に硬い靴底が石を踏む音が混じる。

「人間でしょうか」

ロアが囁くと、ベドは答えなかった。音だけで決めつければ、村の狩人を敵と誤るかもしれない。

しばらくすると、林の向こうに四つの影が現れた。弓を持つ少年、槍の女、荷を背負った男、そして剣の男。ネインの報告と同じ組み合わせだった。

四人は道を確かめながら歩いていた。剣の男が足を止め、何かを示した。ロアには顔が見えなかったが、ベドはその動きに見覚えがあった。三年前、玉座の間で一度だけ見た剣の構えだった。

ベドはロアの肩に手を置いた。今は退く。砦へ知らせる。そう目で伝えた。

二人が坂を登り始めると、背後で枝が折れる音がした。追跡して来たのか、偶然同じ道を通ったのかは分からない。ベドは振り返らず、ロアの歩幅を自分の歩幅に合わせた。

ベドは退く途中、小さな白石を道端へ置いた。巡回路の位置を後から確かめるための目印だ。目立つ旗を立てれば相手にも見えるが、白石なら普段の道にも転がっている。ロアはその工夫に気づき、次の曲がり角で同じ大きさの石を探した。逃げる道にも技術がいる。二人は息を乱さず、何度も訓練したとおりの歩幅で坂を登った。

砦の門が見えたとき、ロアはようやく息を吐いた。二人は生きて戻り、報告することができた。

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