道のまんなか
南の詰所へ、北の橋を直したという知らせが届いた。完成したのは荷車一台が通れる幅だけだが、川に落ちる危険は減った。守備隊長グラドは地図の赤い印を消さず、黄色へ塗り替えた。まだ重い車を通してはいけない。
新兵は橋へ行ってみたいと言った。しかし境界は橋よりずっと手前にある。グラドは、見られないものを見たように語るなと命じた。伝聞なら伝聞として記せばよい。
詰所の裏で、小さな羊が産まれた。あのとき境界の杭を越えて逃げた羊の子で、母羊にぴったりついて歩く。新兵は仔羊の角を触ろうとして、まだ柔らかい額を撫でた。
午後、東の森の件で城から書状が来た。もし勇者と見られる一団が南へ出たら、戦うより先に知らせよという。グラドは兵たちへ読み上げた。若い者は、それでは敵を逃がすと言いたそうだった。
「相手を知るまで生き残れ。死んだ兵から報告は届かん」
グラドは言った。自分たちの足が止まる場所も、相手がどこへでも歩けることも忘れてはならない。
鍛冶師は塩を運んだ御者の話を持ち出し、荷車の軸が折れやすくなる時期が来たと言った。雨で道がえぐれ、重い車輪が片側へ傾くのだ。グラドは兵に、街道の深い轍へ石を敷くよう命じた。国境を見張るだけが詰所の仕事ではない。馬が足を痛めれば、兵糧も薬も遅れる。新兵は仔羊を横目に、石を一つずつ運んだ。夕暮れには轍が浅くなった。
石を運んだ兵の手は泥だらけになった。誰も文句を言わなかった。
夕暮れ、仔羊が杭の方へ走った。新兵は追いかけたが、母羊が先に呼び戻した。彼は安堵して笑った。今日は誰も境界の向こうへ行かずに済んだ。




