四人の足取り
東の砦には、石窟で四人組を見た猟師から新しい知らせが届いた。彼らは鉱石を担いでおらず、代わりに細い巻物を幾つも持っていたという。火を囲んで何かを読み、夜明け前に北へ向かったらしい。
隊長レシュは古い道を地図で確かめた。北へ行けば、崩れた水路橋と人の通わなくなった宿場がある。宿場は境界の外側にあり、魔族の兵は近づけない。
「追うことができないなら、北の人間に尋ねてはどうか」
若い兵の提案に、レシュは頷いた。街道には年に数度、羊毛を運ぶ人間の商人が通る。彼らに頼めば、宿場の様子を見てきてもらえるかもしれない。
砦の食卓では、兵たちがこれまでの目撃証言を読み比べた。剣の男が一番背が高いという者もいれば、弓の少年の方が高いという者もいる。遠目の証言は頼りない。
ユリはそれでも、四人が一緒に歩いていることに注目した。剣の男だけなら城へ来る道を選べたはずだが、仲間の歩幅に合わせていたように見える。
「一人ではないから遅いのかしら」
誰も答えなかった。四人が何を目指しているか分からないうちは、遅さにも理由をつけられない。
砦の兵は、北の宿場を知る老人に話を聞きに行った。老人によれば、宿場の井戸は冬でも凍らず、昔は湯治の旅人が寄っていたという。今は人がいないため、道標が苔に覆われている。レシュは地図に井戸を書き加えた。四人組を探すためだけではない。砦の外へ逃げる村人が、人間の商人と出会う場所にもなる。境界の先へ兵が行けなくても、道の情報は役に立つ。
夕方、羊毛商人の宿に使いが向かった。頼めることは、見てきてほしいというだけだ。人間の商人を兵の命令で動かす権利はない。レシュは礼金を用意し、返事を待つことにした。




