遠い祭り
城下の秋祭りは、毎年広場に七つの灯を吊るす。川、畑、森、山、湖、城、そして道を表す灯だ。広場に集まった子供たちは、色の違う灯を見上げて願いごとを話し合った。
踊りの稽古をつける老女メサは、片脚が悪い。自分は踊れないが、誰よりも拍子を正確に取る。若い者が速く踏みすぎると杖で床を叩き、ゆっくり音を聞かせた。
護衛長ダルムは巡回の途中で広場に寄った。メサは彼に踊りを見ろと誘ったが、鎧を着たままでは足が動かないと断った。メサは笑い、踊るのに鎧は要らないと言った。
広場の端には、人間の染物商が店を出していた。魔族の市場を初めて訪れたという。彼が売る青い布は高価だったが、川の灯を飾るために少しずつ買われた。
商人は祭りが明日も続くと知って、宿を探した。ダルムは詰所の宿帳に空きを見つけ、場所を教えた。商人は意外そうな顔をして礼を言った。
夜、城の高い窓から魔王は灯を見た。七つのうち五つしか見えない。残る二つは塔の陰になっているのだ。毎年、広場の者が後から祭りの絵を届けてくれる。
楽師の少年は、祭りの曲を一箇所だけ間違えた。老女メサは杖で床を叩いたが、客の前では叱らなかった。演奏が終わると、音を外した箇所を一緒に弾き直した。少年は緊張して指が震えたと打ち明けた。メサは若い頃の自分もそうだったと笑った。翌年には同じ曲をもっと上手に弾けるだろう。祭りは一夜で終わっても、練習は明日からまた続く。
今年も誰かが描いてくれるだろう。ヴァルゼンは遠くの太鼓に合わせて、肘掛けをゆっくり指で叩いた。灯は風に揺れながら、夜半まで消えなかった。




