白い丘の子ら
西の集落の子供たちは、白い丘のふもとで石遊びをする。丘の向こうへ投げた石は戻らないが、追いかけようとすると身体だけが動かなくなる。大人は危ないからやめろと言う。それでも石の飛び方を競う遊びは昔から続いていた。
少女ミナは、弟が大事にしていた青い石を丘向こうへ投げたと知って怒った。弟は泣きながら謝ったが、石は草の間に落ちたまま見えている。手を伸ばしても指先は届かなかった。
荷運びのカルが来て、長い枝で石を寄せようとした。枝も境界の向こうへは進まない。自分の手を押し返すものがないのに、枝の先はそこから動かない。
「あれは誰が決めたんだろう」
ミナが尋ねると、カルは答えられなかった。父親も祖父も同じ丘に立ち、同じ問いをしたはずだ。だからといって、何かを知った者はいない。
夕方、人間の羊飼いが丘向こうの道を通った。ミナが声をかけると、羊飼いは青い石を拾って渡してくれた。彼の足はどこでも自由に動いていた。
弟は礼を言い、石を握りしめた。羊飼いは何がそんなに珍しいのか不思議そうだったが、急いで聞こうとはしなかった。
ミナの弟は戻った石を持って、丘へ行く遊びをやめると言った。祖母は無理に約束させなかった。子供は時々同じことを繰り返す。大切なのは、危険を知って自分で考えるようになることだ。ミナは弟と一緒に石を洗い、欠けた角に細い赤糸を巻いた。もう取り違えないようにするためだった。夕飯までのあいだ、二人は窓辺で羊飼いに渡す礼の絵を描いた。
家に帰ると祖母が黒麦の粥を用意していた。ミナは石を窓辺に置いた。行けない場所から戻ってきた小さな石を見ながら、いつか丘向こうの草に触れてみたいと思った。その願いを口にしても、誰も笑わなかった。




