四人分の寝床
東の石窟の近くにある狩人小屋では、昨夜、人間の四人組が休んだ形跡が見つかった。使われた寝床は四つ。炉の灰は丁寧に集められ、棚にあった干し肉の代金として銀貨が一枚置かれていた。
持ち主の猟師ファロは銀貨を見つめた。小屋は長く無人だったが、立ち寄る者のために乾いた薪と食べ物を残している。代金を払う旅人は珍しい。破壊されたものはなかった。
「悪い連中には見えないな」
同行した村の男が言った。ファロは答えに迷った。礼儀正しい者が危険でないとは限らないし、無礼な者が敵とも限らない。四人のうちの一人が、城で三度死んだ人間と同じ顔を持つことを、村の男には伝えていない。
棚には畳んだ布があった。古傷を覆った包帯らしく、乾いた薬草の匂いがする。手に取ると、結び目に人間の文字で小さな印があった。
ファロは村の薬師に見せることにした。薬師は文字を読めなかったが、薬草を嗅いで、深い切り傷に使うものだと教えた。
斥候ネインはその報告を聞き、石窟の奥をもう一度見たいと申し出た。だが帰り道で、近くの道が崩れていることが分かった。雨で土が流れ、荷車が通れなくなっていた。
二人は小屋の板を借り、まず道を塞ぐ溝へ橋をかけた。見知らぬ四人を追うより、村へ戻る道を残すことが先だった。
村の薬師は包帯の結び目を見て、怪我人が自分で巻いたのではないと教えた。傷を負った者の腕が届きにくい位置に、ほどけにくい結び方がされている。誰かが手当てしたのだろう。ファロは四人が囲んだ火の跡を思い浮かべた。恐ろしい剣を持つ男にも、傷を見て布を巻く仲間がいる。そう考えても、父を失った石窟が怖いことには変わりがなかった。
夜、小屋の持ち主は銀貨を木箱へ入れた。もしまた旅人が来たら、今度は干し肉をもう一枚多く置いておこうと思った。




