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勇者は何度でも蘇る。魔王は玉座の間から出られない。  作者: 竜太郎


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雨夜の寝床

東砦へ着いた老いた旅人が雨で体を冷やし、兵舎の新しい診療寝台へ運ばれた。門番ユリは衝立の向こうへ水を持って行った。老人は魔族の砦で眠るのを恐れ、靴を脱ごうとしなかった。


ベドは名を聞くより先に濡れた衣を乾かす場所を示した。医官セフィの指示書を読むリグは、体温と脈を確かめる。病か疲労かを決めるには、温かい部屋で一晩過ごす必要がある。


ロアは巡回の途中で老人の荷を預かり、紐の結び方を覚えた。翌朝、何もなくなったと疑われないよう封をしたのだ。老人はそれを知ると少しだけ表情を緩めた。


夜明け前、雨は弱まった。老人の呼吸が落ち着いたのを見てユリは門へ戻った。新しい診療寝台は、まだ勇者と戦った兵を寝かせるためには使われていなかった。


老人は眠る前、旅の途中で失くした杖を気にしていた。ユリは砦の予備の棒を一本渡すと約束したが、老人は使い慣れた杖でなければ歩きづらいという。ベドは門へ戻り、届けられた荷の中に曲がった木の杖がないか探した。

夜半、老人は目を覚まして自分がどこにいるのか分からなくなった。リグは慌てず、東砦の診療寝台だと繰り返し伝えた。枕元に水を置き、暗い中でも戸口が分かる小さな灯をともした。朝、老人の杖が荷台の底から見つかったと知らせが来た。


老人の荷物には薄い手帳があり、通った宿場の名が記されていた。ユリは許しを得て、最後の数行だけ読んだ。東砦へ来る前に失った杖のことも書かれている。老人は記録を頼りに自分の歩いた道を思い出した。明るくなったら帰る道を一緒に確かめると約束され、ようやく布団を肩まで掛けた。

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