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勇者は何度でも蘇る。魔王は玉座の間から出られない。  作者: 竜太郎


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土砂の預かり場

西へ続く小水路の出口で土砂がたまり、近くの農家が困っていた。ギズは掘り出した泥をどこへ置くか、まず村長に尋ねた。勝手に道端へ積めば荷車の車輪を塞ぐ。


村長は冬の畑の畝を高くするため、乾いた泥を欲しがった。だが川底から出た泥には何が混じっているか分からない。セフィへ少量を送り、畑に使う前に調べることにした。


小水路の片側は魔族が歩ける土地、反対側は人間の農家の敷地だった。ギズは泥を舟に載せて渡し、向こうでは家人が受け取る。重たい土だけが、体より自由に境界を越える。


工事が終わる頃、川の音が変わった。水は以前より勢いよく流れ始めたが、畑に撒く泥はまだ袋に入ったままだった。便利なものが安全とは限らない。


土砂を掘る仕事では、泥の中に折れた陶器と古い木片も見つかった。ギズは住民の捨てたものか、上流から流れたものかを調べ、木片だけを乾かして保管した。土を急いで畑へ返せば、鋭い欠片が働く者の手を切る。

舟で泥袋を受け取った人間の農夫は、魔族の職人に礼を言いながら肩を揉んだ。境界を越えてしまえば荷は軽くならない。二人は袋を小分けにし、子供が持たなくて済むよう大人だけで運んだ。作業を終えた日、農夫の家で焼いた芋が舟に載せられて戻った。


泥袋の重さは一つずつ異なった。年長の農夫には軽い袋を渡し、若い者は二人で持ち上げた。ギズは仕事の記録へ運んだ泥の量だけでなく、怪我人が出なかったことも書いた。翌日、泥を調べたセフィから、畑へ撒く前にしばらく乾かすよう文が届いた。農夫は急がず袋を軒下へ並べた。

泥の匂いはしばらく残っていた。

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