空の待ち合わせ
ルドは東の泉で半日待った。森から来るのは薬草採りと旅人ばかりで、剣の男たちは姿を見せない。白布を枝に掲げていると、人間の少女が何かの祭りかと尋ねた。
ルドは、話したい相手を待っていると答えた。少女は待つ相手の名を聞いたが、知らないのだと教えるしかなかった。四人はこの泉を必ず通るわけではない。
夕方、境界までの道で足を止めたとき、遠い林から獣の鳴き声が聞こえた。ルドは思わず剣の鞘を探したが、今日は武器を持っていない。背負った文を守るより、自分の命を守るため引き返した。
砦へ戻ると、レシュは失敗したとは言わなかった。使者は生きて帰った。渡せなかった文は次の機会のため乾いた箱へ納められ、ルドには温かい食事が出された。
泉の石には昨日までの雨が染み込んでおり、足を置けば冷たかった。ルドは白布が汚れぬよう枝へ掛け直したが、風が変わるたび絵が裏を向く。村人が通ると布を少し下げ、水を汲む邪魔にならないよう道を空けた。
少女が帰った後、年老いた薬草採りが立ち止まり、四人組らしい旅人を遠くで見たと話した。場所は数日前のもので、向かった方角も不明だった。ルドは礼を述べるだけに留め、老人へ案内を頼まなかった。夕暮れの獣声に怯えて帰るとき、白布の端が枝に引っかかった。無理に引かず結び目をほどき、汚れた布を背嚢へしまった。
レシュはルドの戻りを聞くと、本人の足を先に診療させた。怪我はなかったが、半日立っていた膝が強張っている。ルドは何もできなかったと謝りかけ、温かい粥を渡されて口を閉じた。門の外では普通の往来が続いていた。




