手紙の行先
東砦に白い布の使者用の文が届いた。隊長レシュはそれを机に置き、兵ベドとロアを呼んだ。二人は以前、剣の男と距離を隔てて出会っている。その場で弓を構えなかったことが、今も救いになっていた。
しかし四人組は森の奥へ移動したと見られ、街道に張れば村人まで怖がらせる。レシュは通行人に一枚ずつ尋ねる方法を退け、人が集まる泉の近くへ使者が立つ案を出した。
門番ユリは、白布を掲げる者が魔族だと一目で分かれば、向こうが先に警戒するかもしれないと指摘した。だからといって正体を隠すのも危うい。使者には所属を名乗らせ、武器を持たせないことになった。
文は封をされ、伝令小屋に一晩置かれた。レシュは封の上へ重い石を載せ、風で飛ばぬようにした。相手を探しているのは魔王軍であって、返事を強要できるわけではない。
泉には村人が飲み水を汲みに来る。使者が軍の旗を大きく掲げれば、普段の仕事ができなくなるとユリは心配した。レシュは旗を小さな白布に替え、相手が見える高さだけにする。水場そのものを占領しないためだ。
ロアは使者の立つ位置へ行き、足元の石が濡れると滑りやすいことを確かめた。途中には魔族の境界を示す古い杭もある。地図だけでは分からない段差を紙へ描いて帰った。ベドはその絵を見て、帰る道を知っている者だけが待ち続けられると話した。封筒の中身は変えず、地図の余白だけが増えた。
伝令小屋で白布を畳むとき、ロアは鞘の絵が上下逆になっていることに気づいた。イセラが急いで描き直したわけではなく、布を裏返しただけだった。誰にでも分かる印を作る難しさを知り、ルドは柄が見える向きで畳み直した。




