↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者は何度でも蘇る。魔王は玉座の間から出られない。  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
151/240

見えていた剣

ネインは遠い岩場に四人組を見つけた。右頬に傷のある剣の男、長槍を持つ女、弓を背負う少年、荷を抱えた年長者。彼らが岩場を下るとき、剣の男だけが足場の不安定な場所へ先に立った。


突如、谷底から小さな角獣が跳ね上がった。剣の男の刃は抜かれてから戻るまでが短く、ネインには一度の白い弧にしか見えなかった。以前、硬皮獣と戦ったときより動きが速い。倒された角獣は谷へ転がり、槍の女が仲間を引き戻した。


ネインは近づかなかった。境界までの距離を指で測り、観察できた動作だけを記録する。魔族の剣士が同じ距離を縮めるには、装備を工夫しても限界がある。だがそれを嘆く報告を書くつもりはなかった。


帰路、雨の中でネインは手の甲を切った。傷は痛み、布を巻かなければ血が止まらない。遠くの剣の男に比べるまでもなく、彼自身の体は変わらず傷つくものだった。


角獣が倒れた瞬間、弓の少年は矢を引きかけて止めた。ネインはその動きも目にした。剣の男の速さだけではなく、仲間が何をしなかったかを観察することも必要だった。年長の男は荷を持ち直し、転びかけた仲間へ手を伸ばしていた。

砦へ持ち帰った記録を読んだベドは、自分ならその速さに盾を合わせられるかと尋ねた。ネインは正直に難しいと答えた。二人は訓練場で間合いを確かめたが、勇者と同じ動きを再現したふりはしなかった。できないことを知るための訓練がある。ネインの傷に包帯を巻いたユリは、次の巡回を一日休めと命じた。


ネインは報告に「速い」とだけ書かなかった。剣を抜いた位置、角獣が跳ねた高さ、刃が通った角度を図にした。どれも遠方からの推測を含むため、その旨を明記した。ベドは図を手に訓練場へ向かい、自分の盾を置く場所を一から考え直した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。