↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者は何度でも蘇る。魔王は玉座の間から出られない。  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
148/240

帰らない伝票

南の市場へ預けた銭の返金伝票が、約束の日に戻らなかった。メルドは裏切りと決めつける前に、誰が受け取り、どの船へ積んだかを調べた。書記官イセラは伝票の写しを三つ作っていた。


一通は舟頭組合、一通は市場、一通は城。二通目には、雨で船便が一日遅れたと書き足されている。三通目にはまだその知らせがない。紙の行き違いで相手を敵と呼ぶところだった。


通行銭を取った元橋守からは短い文が届いた。損を受けた店を回りたい、ただし護衛の兵には来てほしくないという。グラドは武装した者を連れず、商人の代表を同席させることにした。


ヴァルゼンは報告を読み、城の者が船便の遅れまで意のままにできると思うなと告げた。王の命令は遠くまで届くことがある。だが届く速度は、風と川と人間の判断に負けることもあった。


壊れた運搬箱の底には以前の封蝋がこびりついていた。伝票が濡れたのは誰かが開いたからではなく、船倉の隅で箱が傾いたためらしい。イセラは船頭の名前を調べ、不必要な疑いが向かぬよう事情を記録した。

商人の代表には、返金を受け取ったら額を照合し、足りなければその場で書き残すよう勧めた。現金だけが戻っても、次に同じことが起きれば意味がない。ヴァルゼンは遠い会場のために兵を増やす代わり、人間側の立会人へ謝礼を出した。国境を越えるのは王の足ではなく、互いの信頼を確かめる小さな手順だった。


新しい伝票には、川の便が止まった日も記入する欄ができた。船頭の都合で遅れたのか、天候で誰も渡れなかったのかを残すためだ。イセラは細い罫線を引き、記録を次に使う者の負担にならぬよう、必要な項目だけ残すことにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。