冬の分け前
城下で執政官メルドは冬支度の品目を読み直した。兵の外套、村の薪、診療所の乾燥薬草、学校の窓紙。いずれも足りないと困るが、同じ尺度で優先順位はつけられない。
妻のサラは教師として、教室が寒くなれば子供が集中できないと話した。メルドはうなずきながらも、北の橋の作業員を温める薪が必要だと答える。二人の議論に勝ち負けはなかった。
魔王ヴァルゼンは予算案を見て、城の飾り灯を今年は減らすよう命じた。祭りを禁じるのではない。足りない油を病人の部屋へ回すだけである。ダルムは城の警備灯まで減らさないよう別に数えた。
サラが帰宅すると、机に窓紙の束が置かれていた。メルドが昼休みに職人へ頼んでおいたものだ。言い争ったからといって、相手の必要を忘れていたわけではなかった。
学校の窓紙には小さな穴が何か所も開いていた。子供がいたずらしたのではなく、風の強い日に枠へ擦れて裂けていた。サラは修理を急ぐより、どの窓から寒気が入るか確かめていた。メルドはその話を聞き、材料の無駄を減らせると認めた。
兵の外套を縫うエナからは、古い布を回収して裏地へ再利用する案が届いた。城の備蓄を削るだけでは不満が残るが、使える布を選べば新しい布は本当に必要な人へ届く。サラは帰宅した夫へ夕食を温め直し、二人は寒い教室のことを少し笑って話せるようになった。
メルドは外套の数を調べ、背丈の違う兵に同じ大きさを配っていたことを知った。布を裁ち直せば追加の仕入れは少なく済む。サラは子供の外套にも同じ工夫が使えると言った。夫婦は卓上へ布切れを並べ、何枚取れるか夜更けまで数えていた。




