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勇者は何度でも蘇る。魔王は玉座の間から出られない。  作者: 竜太郎


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鉄箱の別の使い道

古い石切場で見つかった鉄箱は、蓄熱石を納める形だと考えられてきた。鍛冶師ゼマは箱の角に残る傷を調べ、石以外の何かを頻繁に出し入れした可能性もあると話した。


弟子ニコは熱を逃がさぬ蓋を試作した。ゼマはまず普通の湯石を入れ、何刻温かさが保てるかを測らせる。伝説に書かれた鉱石がなくても、冷えた運び手の手を温める道具にはできた。


学匠モールは試作箱の結果を聞き、石窟の古い記述と一致する部分だけ記録した。似た形の道具を作れたことと、原物の用途を知ったことは同じではない。ソラはその区別に赤い線を引いた。


夜、ニコは仕事場の残り炭で小さな箱をもう一つ作り、母の家に届けた。湯石の熱は朝まで持たなかった。それでも母は冷えた指を箱に乗せ、しばらく笑っていた。


湯石の試験には、真夜中まで熱を測る必要があった。ニコは頬杖をついて眠りかけ、ゼマに起こされた。師匠は怒らず、交代で観測すればよいと言った。金属の箱は熱を保つ一方、蓋の縁が触れないほど熱くなることもある。火傷を避けるための木の取っ手を付け足した。

モールは古文書の絵を見せ、石の容器が料理用だった可能性にも触れた。いつか戦いの道具に変わるかもしれないが、まずは村の誰が使うかを知ることが大切だという。ニコは母の家で箱を試し、夜更けには冷えていたと記録した。翌日は壁の厚みを少し変えるつもりだった。


ゼマは次の試作のため、箱の内側へ薄い布を敷くことを提案した。熱を逃がさず、持つ手を傷めない工夫だ。ニコは箱の大きさが変わることを心配したが、母が膝へ置ける形を優先した。蓄熱石の正体を知らなくても、今の道具は改良できる。

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