森の洗濯場
森の番小屋の洗濯場に、灰色の汚れがついた上着が持ち込まれた。猟師ファロは水を汲み、洗い桶を食器用から離して置いた。ほかの者は手袋をはめ、布を擦りすぎないようにした。
上着の持ち主は年若い木こりで、赤い目をしていた。粉のせいだと怯えたが、夜番で寝ていなかったとも話す。ファロは症状の記録をセフィへ送り、勝手に診断を下さなかった。
翌朝、木こりの目は落ち着いた。診療所から返った文には、洗眼と休養を続け、熱が出たらすぐ知らせよとあった。番小屋の責任者は一日の伐採量を減らす。木材を急ぐ事情はあるが、働き手の目を代えられない。
洗濯場に張った縄には、濡れた上着が風を受けていた。ファロはその下へ新しい桶を置く。粉の正体が分からなくても、桶を分ける仕事なら今日からできた。
木こりが休む間、別の者が彼の持ち場を引き受けた。番小屋の薪は予定より少なくなり、夕食には火の通りやすい薄い肉が使われた。誰も木こりの遅れを責めなかったが、働けない日が続けば村の冬支度に響くことも知っていた。
ファロは洗い桶の底に残った灰色の濁りを小瓶へ集めた。粉が単なる樹の病気でも、働く者が心配しているという事実は消えない。手袋を干す縄は宿の出入口から少し離し、子供が触れぬよう札を下げた。夜、木こりは熱がないことを確認して眠った。ファロは見張りの交代時刻を一つ早めた。
洗った上着の袖には、木こりの母が縫った名前の文字があった。ファロはその部分を強く擦らず、乾いた布で押さえた。元気になった者が同じ服を着て仕事へ戻る日を思っていた。
洗い桶はもう一度よくすすがれた。




