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勇者は何度でも蘇る。魔王は玉座の間から出られない。  作者: 竜太郎


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兵舎の空いた寝台

東砦の兵舎に、長らく使われなかった寝台が一つあった。以前の持ち主は戦死者ではない。生まれた子を見るため、故郷の領域へ戻ったまま、砦の勤務へ復帰できなくなった兵だった。


ベドは寝台を倉庫へ移せと命じられたが、脚の継ぎ目を直してから運ぶことにした。ロアが手伝いながら、なぜ帰ってこられないのかと尋ねる。ベドは領域の割り当てが変わったとだけ答え、その理由は自分にも分からないと認めた。


門番ユリは空いた場所を診療用の寝床へ変える案を出した。今は倒れた旅人を石倉まで運ぶより安全である。隊長レシュは砦の規律と病人の寝息を同じ部屋に置くことを考え、衝立を求めた。


寝台の下から、持ち主が落とした小さな木の馬が出てきた。ベドは捨てず、宛先を調べて送った。木の馬は勇者の報告には書かれなかった。


木の馬は片耳が欠け、腹に幼い字で父の名が刻んであった。ベドは修理を頼むか迷ったが、持ち主の子供がその傷を覚えているかもしれないと考え、汚れだけ拭いて包んだ。遠い領域へ届ける荷には、他人の手を何度も経なければならない。

衝立は裁縫師エナの余り布で作られた。色が揃わず、青と褐色の継ぎ目が目立つ。ユリは兵舎らしくないと笑い、それでも寝床を使う人が周りの視線から隠れられるようにした。空席だった場所へ薬瓶と水差しを置くと、部屋の意味が変わった。ベドは寝台を見て、あの兵にも新しい家で暮らす朝があることを思った。


届け先の村を記した札は小さく、荷馬車の揺れで落ちそうだった。ベドは紐を二重に結び、子供のいる家へ確実に届くよう伝令へ頼んだ。空いた寝台の毛布は日干しにされた。

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