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勇者は何度でも蘇る。魔王は玉座の間から出られない。  作者: 竜太郎


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小さな蹄の熱

北の宿場から運び込まれた荷馬が、足を震わせて倒れた。獣医を兼ねる牧夫は蹄の傷よりも高熱を疑い、ほかの馬を柵の向こうへ移した。北橋の修理材を運ぶ予定だった馬である。


大工頭ブラムは材木が届かぬことより、馬が生き延びられるかを心配した。ホルは魔族の領域から出られず、橋の向こう側にある厩舎へ行けない。人間の職人フィンが獣医の指示を聞き、濡らした布を運んだ。


夕方、馬は水を少し飲んだ。修理材の運搬は二日延ばされたが、フィンは誰にも急がせなかった。橋を完成させても、働いた馬が死んでは胸を張れない。


ブラムは木材庫の帳簿に遅延の理由を書いた。誰かが責任を問う日に、病気の馬が休むための時間だったと分かるように。若い作業員は、その一行を何度も読み返した。


フィンが馬へ水を飲ませるとき、口の端から半分がこぼれた。牧夫は無理に飲ませるなと言い、器を低く持ち直させた。蹄の熱は血の巡りを確かめ、冷やしすぎぬよう布を替えた。ブラムは道具を取りに来た作業員へ、厩舎では声を落とすよう知らせた。

馬の名はトルムといい、北の宿場から十年以上材木を運んでいた。若い作業員は初めてその名前を知り、ただの荷馬と呼んでいたことを恥ずかしく思った。元気になったら最初の荷は軽くすると話すと、フィンが笑った。ホルは対岸から届いた新しい革紐を使い、馬具の修理を先に終えた。運ぶ木材が一束減っても、橋は人の手だけでは建たない。


馬の鼻先には干した草が置かれたが、まだ食べようとしなかった。牧夫は無理に口へ入れず、夜も見守る係を交代で付けた。材木の納品を待つ者には理由を伝えた。

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