二枚の診療札
診療所の入口に病人が増え、リグは診療札を二色に分けようと提案した。高熱を出した子と、靴ずれの旅人が同じ列に並ぶと、必要な処置の順が見えなくなるからだった。
セフィは色に身分の意味が混じらぬよう、札を名前ではなく症状で渡すことにした。話せない者には付き添いから聞く。熱のある者を先に奥へ通しても、待つ者の不安が小さくなるとは限らない。
その日、東の村の子は熱が下がったと伝令が知らせた。セフィは胸を撫で下ろしたが、使った薬草の量を尋ねることも忘れなかった。次に同じ病が来たとき、袋だけで数を覚えていては間に合わない。
夕刻、最初に青い札を受け取った老人が帰り際に頭を下げた。列の最後にいたから見捨てられると思っていた、と小さく告げる。セフィは返答に迷い、翌日から受付に説明を読む係を一人置くことにした。
受付の机には、字を読めない者のため絵を描いた。喉の痛みは首の線、脚の傷は靴、熱は額に手を当てる顔。リグは描き方に迷い、学校の教師サラへ相談した。サラは子供が使う絵札を貸し、人の苦しみを笑いものにしない絵にするよう頼んだ。
青い札の老人は長い列で膝を痛め、立ったまま待っていた。セフィは椅子を増やし、座れない者が優先される仕組みにならぬよう、番号札も併用した。昼過ぎには人間の旅人が親指を切って現れた。受付の女はためらわず傷の絵を指さす。旅人は言葉が通じなくても安心したように席へ座った。病人の順番を決めることは、命の値段を付けることではない。
サラの絵札は返却せず、写して使う許しを得た。受付係は描かれた額に手を当て、苦しそうな患者に見せて意思を確かめた。




