↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者は何度でも蘇る。魔王は玉座の間から出られない。  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
118/240

渡された綱

崖の上で助け出された旅人は、足を痛めて歩けなかった。人間の四人組は古道の向こうで布を裂き、即席の固定具を作っている。兵ベドは境界の手前から、近くの宿場の位置を声で伝えた。

槍の女は頷き、荷を背負う男が地図を取り出した。剣の男は右頬をこちらへ向けたが、何も言わなかった。ロアは喉が渇き、何を問いかけてよいか分からない。

荷を背負った年長の男は、怪我人の膝を支えるために自分の杖を折って添え木にした。ロアには思い切ったことに見えたが、男はためらわず布で固定していた。槍の女は人間の宿場へ続く道を尋ね、ベドは遠くの高い杉を指して曲がり角を説明した。地図へ描けない起伏があることも伝えた。

剣の男はその間、旅人の肩へ水筒を掛け直していた。強い相手が何を考えているかは、近くで見ても分からない。その手はひどく落ち着いて見えた。

「城へ行くつもりなのか」

思わず声を上げると、剣の男はしばらくこちらを見た。それから遠い城のある方角へ目を向けた。返事は聞こえず、仲間が旅人を支えて歩き出した。

ベドはロアへ、追うなと命じた。追いたくても境界の向こうへは行けない。だがロアの足が止まったのは境界のせいだけではなかった。さっき救われた旅人の姿が頭から離れなかったのである。

崖の手前には、四人組が使った綱の端が残されていた。旅人を助けるため、こちらから投げた綱を使ったのだ。ベドはそれを巻き取り、濡れた泥を落とした。

砦へ戻ると、隊長レシュは救助の経緯を一つずつ尋ねた。剣の男がしたことと、城へ向かったかもしれないという推測を分けて記録した。ロアの手はまだ震えていたが、字を書くことはできた。

翌朝、綱は干してから倉へ戻された。再び誰かを救うために使われるかもしれない。ロアはその重さを忘れないよう、結び目を手で確かめた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。