薬を運ぶ少年
城の医務室から東砦へ薬を運ぶ役を引き受けたのは、見習いリグだった。これまで城下から遠くへ出たことは少なく、地図の道を何度も確かめてから出発した。同行する荷運びカルは、急ぐほど荷車の車軸が傷むと教えた。
道中、二人は古い橋で立ち止まった。雨のあとの水が増え、板が滑りやすくなっている。リグは薬が必要な人を思って焦ったが、カルは荷車を下り、車輪の下へ藁を敷いた。
昼過ぎ、二人は東砦へ到着した。医官セフィから託された薬を渡し、老人の容体を確かめる。リグは初めて見る遠方の診察室に緊張したが、薬瓶の紐を触ると用途を間違えずに選べた。
砦の門番ユリはリグに食事を勧めた。彼は断ろうとしたが、カルが先に椅子へ座り、長い道を帰る前には腹を満たせと言った。二人は豆の煮込みと乾いたパンを食べた。
その晩、リグは砦に泊まった。屋根の上で風が鳴り、遠くの森から獣の声が聞こえる。城の医務室なら聞こえない音だった。眠れずにいると、ロアが夜番の交代に来て、城ではどんな薬を作っているのか尋ねた。
カルは薬瓶を運ぶとき、荷台の四隅へ乾いた藁を詰めた。リグは最初、荷物が増えるのを嫌がったが、橋で荷車が揺れたときその意味を理解した。瓶が触れ合えば割れ、必要な薬が失われる。カルは荷運びの技術を偉そうに語らず、リグに藁の詰め方を一度やらせた。
東砦で診察を手伝ったあと、リグは使った布を煮沸して乾かした。帰りの荷車には、セフィへ報告する患者の記録も載せられた。行きの荷と帰りの荷では、守るべきものが違った。
リグは自分が覚えたことを話し、ロアは砦で必要な薬のことを教えた。二人は夜が明けるまで起きていたわけではない。最後には互いの仕事に戻るため、短い眠りを取った。




