開いたままの門
東砦の門を閉める準備が終わったころ、村から荷車が一台来た。乗っていたのは病気の祖父を運ぶ家族で、石倉には寝床が足りないから砦で休ませてほしいという。隊長レシュは兵の寝台を一つ空けるよう命じた。
その直後、林の向こうに四人組が見えた。兵ロアは鐘へ手を伸ばし、ベドに止められた。まだ距離がある。荷車が門をくぐる前に警報を鳴らせば、馬が驚いて転ぶかもしれない。
護衛の兵たちは剣を抜かず、荷車の車輪を支えた。祖父は顔色が悪く、息子が背をさすっている。四人組の影は古い道で止まり、こちらを見ているようだった。
門番ユリは村の母親へ、荷を運ぶのを手伝ってほしいと頼んだ。何を持ち込めばよいか分からない人々に、毛布と水を先に渡した。
やがて四人組は、砦の方へは進まず道を曲がった。レシュは追撃を命じなかった。追っても境界で足が止まることが分かっているし、門の内側にはまだ病人がいた。
家族の荷車を支えた若い兵は、馬の額を撫でながら小さく数を数えていた。暴れる馬を落ち着かせるため、幼い頃に父から教わった節を唱えていたのだ。ロアはその声を聞いて、自分が槍の柄を握る手に力を込めすぎていると気づいた。門の内側に入った馬が餌を食べ始めると、兵たちの肩の緊張も緩んだ。
ユリは家族の寝床を決め、車輪へ石を噛ませた。夜のあいだ荷車が動かないようにする、いつもの仕事である。
日暮れ、荷車の家族は祖父のために湯を沸かした。ユリは門を閉める前、林の最後の影を確かめた。勇者らしき男がこちらを見ていたのかどうか、遠すぎて分からなかった。門を閉める音は重く、石の廊下へ長く響いた。




