石段の幅
謁見の間へ続く石段の幅を測った護衛長ダルムは、古い図面と実際の数字が違うことに気づいた。壁を後から補修したため、途中の二段だけ狭くなっていたのだ。大きな盾を持つ兵はそこで肩をぶつける。
書記官イセラは古い修理帳を探し、何年も前に水漏れを直した記録を見つけた。誰も戦いのために階段を狭くしたわけではない。雨漏りを止めることが、そのとき一番大切だったのである。
ダルムは壁を削る案を考えたが、城の土台を傷めるかもしれないと職人に止められた。代わりに、そこへ立つ兵の装備を軽くし、通る人数を減らすことにした。
昼、掃除係の少年が階段で大きな水桶を倒した。兵が新しい位置に立っていたため、いつもの道が通れなかったのだ。ダルムは自分の判断の欠点を認め、勤務の合間に通行できる時間を決めた。
「守りを固めたつもりで、皆の足を止めてはならんな」
少年は謝り続けたが、ダルムは濡れた床を一緒に拭いた。水を汲み直した少年が軽くなった桶を持って去ると、兵たちにも少し笑いが戻った。
修理帳には、壁を補強した職人の名が残っていた。その者の孫が今も城下で石を切っていると分かり、ダルムは相談を持ちかけた。孫は祖父の工事を誇りに思っていたが、廊下が狭くなったと聞いて驚いた。石の強度を確かめると、削ってよいのは表面のごく薄い部分だけだという。皆は壁の外側ではなく、通る者の装備を変える方が安全だと判断した。
掃除係の少年は新しく定められた通行時刻を壁へ書き、字の読めない同僚のために水桶の絵も添えた。
夜、ヴァルゼンは変更された警備図を見た。石段は昨日とほとんど同じだった。それでもそこを通る人々の暮らしを考え直したことで、城はわずかに守りやすくなっていた。




