東の商道
東の森を抜ける商道に、通行料を求める人間の集団が現れた。砦の兵は境界より先へ行けないため、直接取り締まることはできない。商人たちは南の市場で守備隊長グラドへ訴えた。
グラドは集団が盗賊か、道の修理を名目に料金を集める者なのかを確かめようとした。人間の商隊長は、通行料を払わなければ道を塞ぐと脅されたと言う。一方、北から来た旅人は橋を直している人々だったと証言した。
両者の話が食い違うため、オードが商道を通る仲間へ手紙を送った。何が起きているか正確に知るためには、境界の向こうを歩ける者の目が必要だった。
午後、荷車を引いた老人が市場へ来た。料金を求めた者の一人は、戦で家を失った若者だという。老人は彼らを庇うつもりはないが、暮らす場所のない者が道を塞いでいることを知ってほしいと頼んだ。
グラドは通行料を正当とは認めず、しかし兵を集めて境界へ突撃する命令も出さなかった。代わりに市場の倉庫で人間の商人と相談し、別の道を使う荷を一時受け入れることにした。
商人の一人は迂回路を使えば売り物の野菜が傷むと訴えた。オードは荷を小分けにし、途中の宿場へ預けられないか調べた。道の争いは政治の話でもあるが、その日の夕食に届く青菜の話でもある。旅人の老人は、若者たちに仕事があれば通行料を取らずに済むのではないかと呟いた。グラドはそれを聞き、こちらの市場で雇える荷運びの人数を数えた。
結論はまだ出なかった。ただ、明朝に野菜を届ける別の道が一つ見つかり、商隊の女が初めて表情を和らげた。
その夜、南の詰所では普段より多くの荷車が停まった。車輪の間を子供が走り、料理の鍋が幾つも並んだ。道を巡る争いはまだ解けないが、泊まる場所を必要とする人々が現実にそこにいた。




