↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レイヴン ― 境界線上の者たち ―  作者: 徴《しるし》
災禍

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/27

新装備

 室内に、おじさん一人の乾いた拍手が響き渡った。

 おじさんの方を見ると、満面の笑みを浮かべて頷いていた。

 一人で勝手に納得して、一人で喜んで、ちょっと気持ち悪い。


 僕の感動を邪魔しないでほしい。


「いい仲間に恵まれたねぇ。おじさんちょっと泣いちゃった。これなら、運用上のリスクも問題なさそうだ」


「冠城さん!そんな言い方しないでください。彼は、兵器じゃないんですよ」


「おっとごめんごめん。つい、いつもの癖で」


 おじさんの軽口をリーダーがたしなめたけど、反省している様子はなかった。

 それより、こっちから聞かなくちゃいけないことがある。

 僕のこれからと、おじさんの目的だ。


「運用上のリスクって……僕はこれからもみんなと戦っていいってこと?そもそも、おじさん何をしにこんな地方都市に来たの?」


「むしろ、この第五対策班にいた方が、君は最高のパフォーマンスを発揮できる。そして、おじさんの仕事は依形のメンテナンス係さ」


「メンテナンスは僕たちもやってるけど……おじさんって、そんなにすごい人なの?」


「夜久コウヤが昔から持っていたアンプルあるでしょ。君の発作を抑える薬。あれの開発者、おじさんだよ。夜久家からは多額の出資があったからねぇ」


 つまり、このおじさんは本当に僕の味方だった。

 コウヤがどうやってあんなものを手に入れたのか、ずっと気になってはいた。

 僕の古巣から入手していたのだ。


 もしかして、僕を研究所から連れ出した後、コウヤは裏では繋がっていたのか。


「あ、勘違いしないでほしいんだけど、君の生体データの提供とかは、一切受けてないよ。前任者は解雇されたし。まあ、今時あんな非人道的行為は許されないさ」


 僕の不安を感じ取ったのか、まだ何も言ってないのにおじさんはやんわりと否定した。


「それにね、この新装備は専門家がいないと運用が難しいんだ」


 おじさんはそう言うと、先ほどリーダーのデスクに置いた紙袋をその場で開け始めた。

 自然と、全員がリーダーのデスクに集まる。

 さっきは東部地方のお土産で、食べ物って言ってたはず。この人、平然と噓をつく悪い大人だ。


 違った。ひよこみたいなお饅頭と一緒に、見たこともない形状の依形がいくつか出てきた。

 食べ物と一緒にするとか、控えめに言っても頭がおかしい。


「おいおいこれってまさか……」


「さ、最新鋭の依形ですか!?本部の精鋭班だけが使えるって噂の!」


 アカネとハルカが、新装備の依形を見てテンションを上げる。


「そう!長時間の運用を想定した、自信作だよ。出力は以前と変わらないけど、討魔士への負担をかなり軽減できる作りになっている。予算の関係で、極一部でしか採用できていないけど」


 おじさんは鼻高々で、嬉しそうに解説している。

 そんなにすごいものなら、なおさら食べ物と同じ袋に入れていた意味が分からない。

 おじさんは依形を一つ取ると、リーダーに手渡した。


「だから、これなら君にも使えるよ。元最強の討魔士さん」


「……!で、ですが私はもう現場を離れて長いですし、今さら出ても足を引っ張るだけで」


「もちろん、リハビリと調整は必要だから今すぐってわけにはいかない。でも、もう一度戦える可能性があるなら、やるだろう?」


 リーダーが復帰するか否か迷っていると、アカネがものすごい勢いで大声を出した。


「やれよ明野!!もう一度、お前と一緒に戦えるならアタシは……!」


「アカネ、急に大声出さないで。それは、友達としてのお願い?……ふぅ、そうね。みんなに追いつくのは大変だろうけど、頑張ってみようかしら」



 丙型人魔が誕生して、不安なことだらけの僕らの世界。

 でも、第五対策班は確実に前を向いて、進んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。