表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
創世輪廻譚  作者: からあげ大佐
第一部「もう一度君に会うために」     第一章「始まりの街」
21/32

第二十一話「忍耐」

 キングがこちらを睨む。


 巨大な体。


 圧倒的な威圧感。

 さっきまでなら視線を向けられるだけで足が竦んでいた。


 だが今は違う。

 違うはずだ。


(……落ち着け。)


 深呼吸。

 頭を回す。


(傷は治った。)


 理由は分からない。


 だが事実だ。


 潰れた腕も砕けた骨も裂けた皮膚も捻れた内臓も。


 全部消えている。


(それと……)


 思い出す。


 何度も見てきた光景。

 死ぬ瞬間だけ見える未来。


(スキル……なのか?)


 分からない。


 だが。


(いや、もういい。)


 今は考えている暇がない。


(スキルだ。)


 そういうことにする。

 生き残れたら後で考えればいい。


(俺のスキルは死ぬ未来が見える。)


 たぶん。

 きっと。

 おそらく。

 全部全部全部推測だ。


 それでも。

 今はそれしかない。


(なら。)


 剣を構える。


(利用する。)


 キングが動いた。

 地面が砕ける。


 巨体とは思えない速度。


「っ!!」


 反射的に横へ飛ぶ。


 直後。


 ドゴォォォォン!!


 拳が石畳を粉砕した。

 破片が飛び散る。


 頬を掠める。


(速い……!)


 だが、見えた。


 さっきよりはっきり。

 自分の頭が潰される未来。


 それを見たから避けられた。


 ならやれる。


 ソラは踏み込む。

 キングの懐へ。


 振るわれる拳。


 未来。

 腹部貫通、死亡。


「っ!」


 足を止める。


 未来が消える。


 なら左。

 左へ飛ぶ。


 今度は腕。


 未来。

 頭部粉砕、死亡。


 後ろへ下がり、未来が消える。


(面倒くさい!!)


 思わず心の中で叫ぶ。


 だが。

 死ぬよりはいい。


 キングの攻撃が続く。


 拳。


 蹴り。


 棍棒。


 尻尾。


 全てが必殺。


 一つでも当たれば終わる。


 未来を見て、避ける、未来を見る。避ける。


 避けて、避けて、未来を見て、避ける。


 その繰り返し。


 だが。


 少しずつ。


 少しずつ。


 見えてくる。


「そこだ!」


 剣を振るう。


 青い軌跡。


 キングの腕を斬る。


 ザシュッ!!


 初めて。

 初めて刃が通った。


 浅い。

 本当に浅い。


 それでも。

 確かに傷だ。


 キングの動きが止まる。

 赤い瞳が細められる。


「……効いた。」


 思わず声が漏れる。


 だが。


 次の瞬間。


 ギャオオオオオ!!


 怒号。

 衝撃波のような咆哮。


 ソラの体が吹き飛ぶ。


 屋台へ激突。

 木片が飛び散り、品々が弾ける。


「がっ……!」


 血を吐く。

 肋骨が軋む。


 それでも立ち上がる。


 傷は治る。

 だが痛みは消えない。


(強い……)


 分かっていた。

 分かっていたはずだった。


 予知がある。


 剣もある。


 それでも。

 全然足りない。


 キングが歩き出す。


 一歩。

 また一歩。

 逃げ場を潰すように。

 獲物を追い詰めるように。


 ソラは剣を握り直した。


(まだだ。)


 進めど、死の未来。

 斬りかかろうと切れず終い。


 何度も。


 何度も。


 何度も。


 そして。


 キングが腕を振り上げた。


 ソラは右へ飛ぶ。


 その瞬間。


 未来が見えた。


「……え?」


 右側。


 飛び込んだ先。


 巨大な口。


 牙。


 黒い大蛇。


 今まで見えていなかった尻尾の先が大口を開けていた。


 そのまま噛み砕かれる未来。


「っ!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ