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創世輪廻譚  作者: からあげ大佐
第一部「もう一度君に会うために」     第一章「始まりの街」
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第二十話「進め」

「ぁ….ぁ….」


 息ができない。

 視界が霞む。

 立てない。

 全身が痛い。


 どこが折れているのかも分からない。


 それでも。

 キングはゆっくりと近付いてくる。


 重い足音。


 一歩。


 また一歩。


 それだけで恐怖が込み上げる。


「くそ….」


 震える手で剣を握る。


 だが。

 ボロリ、と刃が崩れ落ちた。

 限界だった。


 武器も。

 体も。

 もう終わりだ。


 キングが棍棒を振り上げる。


 未来。

 頭部粉砕、死亡。


「っ….」


 避けられない。


 動けない。

 死ぬ。


 そう思った瞬間。


 何かが空から落ちてきた。


 キングの目の前。

 ソラとの間。

 石畳を貫きながら、それは地面へ突き刺さる。


 青き刀身の剣。


 淡い光を放っている。


「….これ….」


 知っている。


 最初に持っていた剣。

 いつの間にか消えていたはずの剣。

 何故ここにあるのかは分からない。


 だが。


「っ….」


 今はもう、それに縋るしかなかった。

 這うように手を伸ばす。


 キングが動く。


 棍棒。


 未来。

 頭蓋粉砕、死亡。


「ぁ….」


 それでも止まれない。

 指先が剣へ触れた。


 瞬間。


 意識が落ちた。


 ──静かだった。


 音がない。


 地面もない。

 空もない。


 どこまでも空白が広がっている。


 その中央。


 人がいた。


 いや。


 人の形をした光。


 輪郭が揺れている。


 顔も見えない。


 男か女かも分からない。


「…….」


 何かを喋った。

 だが聞こえない。


 ノイズみたいに掠れている。


 それでも。

 何故か、その名前だけが頭に浮かんだ。


「….アズラエル?」


 瞬間。

 意識が戻る。


「っ!!」


 息を吸う。


 目を開ける。


 広場。

 燃える街。

 キング。

 そして。


 青い剣を握る自分。


「….ぁ?」


 立っていた。


 さっきまで倒れていたはずなのに。


 視線を落とす。


 潰れていた腕。

 砕けていた骨。

 血は残っている。

 服も破けている。


 なのに。


「傷が….」


 全部。

 消えていた。




 時を戻して、東戦線。


「らぁぁぁぁっ!!!」


 大剣が唸る。


 突っ込んできたノーマルゴブリン達がまとめて吹き飛んだ。


 血が舞う。

 土が抉れる。


「まだまだぁ!!」


 ゴルドは止まらない。


 振る。

 叩き潰す。

 薙ぎ払う。


 まるで巨大な棍棒でも振り回しているみたいだった。


 ギャァァァァッ!!


 アーチャーの矢。


 ゴルドは避けない。


 腕で弾く。

 金属音。


 矢が砕け散った。


「ちまちま撃ってんじゃねぇ!!」


 地面を蹴る。


 一気に距離を詰める。

 アーチャーゴブリン達が慌てて後退した。


 だが遅い。


 大剣一閃。


 まとめて吹き飛ぶ。

 その時だった。


 グォォォォッ!!


 前線を割るように巨体が現れる。


 ロード。


 ゴルドと同等のサイズを持つ大型種。


「おっ、やっとデケェのが来たか。」


 ロードが突進。


 巨大な腕を振り上げる。


 ドゴォンッ!!


 拳がゴルドへ叩き込まれる。

 地面が沈む。


 だが。


「軽ぃなぁ!!」


 ゴルドは笑っていた。

 腕が鈍い鉄色へ変わっている。


 ロードが目を見開く。


 次の瞬間。

 ゴルドの腕をロードが噛んだ。


 ギギギギギギッ!!


 だが砕けない。


「どうしたぁ?」


 ニヤリと笑う。


「噛めねぇのか?」


 ロードが暴れる。


 だが。

 ゴルドはそのまま腕を持ち上げた。


「ならよぉ。」


 肩を鳴らす。


「よーく味わってくれよぉ!!!」


 ブォンッ!!!

 ロードごと振り回す。


 巻き込まれるノーマル。


 吹き飛ぶアーチャー。


 悲鳴。

 骨の砕ける音。

 最後に。


「らぁぁぁぁぁっ!!!」


 投げた。


 ロードの巨体がゴブリン軍へ突っ込む。


 ドゴォォォォンッ!!


 土煙。

 ゴブリン達がまとめて吹き飛んだ。


「がはははははっ!!!」


 大剣を肩へ担ぐ。


「まだまだ来いよぉ!!!!」

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